レッスン 4

モバイルの成熟モデル

アプリは、開発が終わってリリースされた後も、成功するまで繰り返しアップデートされ、変更が加えられます。ほとんどのアプリは、単なるアプリから収益の原動力へと進化する過程で、このような成熟プロセスをたどります。企業がアプリを導入する場合、この成熟プロセスはたいてい、今から説明する段階を進んでいきます。

各アプリの成熟モデル

既存の企業で、自社のエコシステムにアプリを導入しようとすると、時間がかかるだけでなく、難しい状況に陥ることがあります。自社の幹部に対し、アプリが企業の最終損益に貢献すると確信してもらえるよう、働きかける必要があるからです。App Annieは、アプリの成熟モデルを3つの段階に分けて考えていますが、あらゆる企業やアプリがすべての段階を必ず進むわけではありません。

それでも、このプロセスを理解すれば、自社アプリの方向性を検討するときに、いくつかの段階に分けて考えられるようになります。

第1段階:マーケティング主導の開発と戦略

第1段階は、アプリの導入が、マーケティング活動の一環として進められるような状況です。たとえば、マーケティングチームの社員が、「この取り組みをアプリで試すべきだ!」と提案するといった具合です(「戦略立案」で説明するように、こうした提案は良いアイデアのこともあれば、そうではないこともあります)。この種のアプリはたいてい、ウェブベースのマーケティング活動の延長として開発され、基本的な情報と限定的な機能しか搭載されません。この提案を実行に移すのは比較的簡単で、開発を外部の会社に任せることもできるでしょう。セキュリティ面で検討すべきことはほとんどなく、バックエンド開発もほぼ必要ありません。

第2段階:モバイルの特長を活かした開発

この段階では、既存のビジネスをそのまま展開するのではなく、新たな機会を拡大し、利用できるようにすることが目標となります。そのために、モバイルならではの機能(GPS、カメラ、アプリ内決済オプションなど)を活用します。したがって、リソースを集中的に投下し、アプリの機能を他のバックエンドシステムと統合することが必要になります。成熟モデルがこの段階に来れば、アプリがモバイルならではの機会とメリットを生み出すようになるはずです。

第3段階:収益の拡大とモバイルに特化した戦略

第3段階は、企業のアプリが直接収益をもたらしたり、大幅にコストを減らしたりするようになるフェーズです。アプリは規模の大きな企業の業務と高度に統合されるようになり、1つまたは複数のチームがアプリの保守と開発に専念することが必要になります。モバイルファースト企業にとって、今やアプリは、見込み客、機会、収益などをもたらす原動力となっています。

アプリ市場全体の成熟モデル

アプリ経済全体を見渡すと、新興市場から成熟市場に移行する過程でよく見られる動きが起こっており、それぞれの市場で、特有の傾向とアプリの利用形態が見られます。そこで、アプリ市場の成熟モデルを簡単に見ていきましょう。

第1段階:新興市場:ダウンロード数が急増

市場成熟化の初期段階では、ダウンロード数が急増します。これは、デバイスのインストールベースが一定規模に達すると、新しいデバイス所有者がアプリストアを見て回り、アプリのコレクションを作り上げるからです。今はインドとインドネシアがアプリの新興市場となっており、ダウンロード数が飛躍的に伸びています。したがって、パブリッシャーが先行者利益を得ようとするなら、いつどの市場に参入すべきかを判断することが必要になります。また、こうした初期段階でのダウンロードの増加が、将来のアプリ利用と収益の増加に向けた基盤となるのです。

第2段階:成熟市場:利用者と収益が増加

年月の経過とともに、ダウンロード数の伸びは横ばいになります。成熟化が進んだ市場のユーザーは、お気に入りのアプリだけをますます利用するようになり、ニーズを満たしてくれないアプリは削除します。米国や日本のような成熟市場は、ダウンロード数が増える段階から、アプリの利用と収益が大きく増える段階へと移行しています。こうした市場では、ダウンロード数自体は多くても、さらに増えることはありませんが、アプリの利用と利用時間はこれからも伸び続けます。このようなエンゲージメントの拡大が、アプリ内広告やアプリ内課金、それにアプリストア以外の場所で行われるモバイルコマースによる収益の増加をもたらします。

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次のレッスンでは、モバイルプラットフォームがビジネスのあり方(および場所)にどのような変化をもたらしているのかについて学習します。

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