App Annie | Academy

エンゲージ戦略

レッスン 5

アプリのリテンションに注目する

アプリの成長を促進し、収益とロイヤルティの目標達成に役立つ重要イベントについて見極めを進めるほどに、「アプリのリテンション」という言葉を目にすることになるでしょう。ユーザーをいかにうまくつなぎとめられるかが、成功と失敗の分かれ目となります。すなわち、ダウンロード後の収益グラフがどんどん右上がりになるか、下がっていくかの分かれ目です。

簡単に言えば、ユーザーをつなぎとめられず、重要イベントを定期的に実行してもらうことができなければ、アプリは失敗に終わります。また、すでに説明したように、既存ユーザーの維持は、新規ユーザーの獲得に比べてはるかにコストがかからず、効果的です。そのため、アプリのリテンションがほんの少し向上しただけでも、非常に大きな違いが生まれる可能性があります。

それはまた、アプリのリテンションが他の要素と切り離せないものであることを意味します。リテンション率を高めるには、最初の「戦略立案」に立ち返り、アプリのコアバリュー、アプリに慣れてもらうオンボーディングの段階、そしてユーザー体験(UX)のフローを見直し、調整する必要があります。

以上のことを念頭に置いて、詳しい話を進めましょう。

N日後のリテンション

アプリ業界では「N日後のリテンション」という言葉を聞くことがあります。これは、初めてアプリを利用してから特定の日数(N日)後にそのアプリをアクティブに利用しているユーザーの割合を追跡する指標です。例えば、14日後のリテンションは、初めて利用した日から14日後にアプリの利用を継続しているユーザーの数を意味します。これは、リテンションを評価するための重要な指標です。なぜなら、アプリに戻ってくるユーザーの数は、アプリをインストールしたのがどのくらい最近のことかで大きく異なるからです。

アプリをリリースした直後であれば、リテンション率が低下してもパニックになる必要はありません。それはきわめて普通の現象です。実際、平均的なアプリのリテンションは、最初のインストール後に大きく低下します。これにはさまざまな理由がありますが、詳細については次のレッスンで、リテンション率を高める戦略とともに取り上げます。

今の段階では、きわめて人気の高いアプリだけが、アクティブユーザーを高い割合で維持することができ、そうしたアプリでさえ約50%のユーザーを失うということだけ覚えておきましょう。実際、すでに説明したように、平均的なユーザーリテンション率は90日後に2%近くまで低下します。

リリースしたアプリが、ユーザーの50%を維持できる数少ないアプリの仲間入りを果たせれば素晴らしいですが、平均値に近いリテンション率を示した場合にも備えておきましょう。ただし、リテンション率が急速にゼロに近づく場合は、どのようなリテンション対策でも修正できない問題が潜んでいる可能性があります。

リテンション率がゼロかそれに近い場合は、単純にユーザーがアプリに価値を見い出していないことを意味します。したがって、最初の段階に戻り、エンゲージメントに取り組むのではなく、核となるモバイルアプリ戦略とアプリ開発に目を向けるのが最善策です。

ここでも、競合アプリを調べることが、同じ業界のアプリの平均的なリテンション率に追いつくためのもう1つの手段となります。同じ分野でトップにランクしているアプリでさえ、10日後のリテンション率は90%を割り込んでいるのがわかるでしょう。現実的なベンチマークを設定することが、リテンション率を高めるチームの取り組みに役立ちます。

リテンションと離脱ユーザー

リテンション対策で注目すべきもう1つの指標が、離脱率です。これはリテンション率と裏表の関係にある指標で、アプリをインストールしてすぐに削除し、二度と戻ってこないユーザーの割合を表します。離脱率はアプリの成功度を測るもう1つの重要指標であり、また、利用を停止または離脱したユーザーこそ、ターゲットとすべきユーザー層となる可能性があります。こうしたユーザーは、一度はアプリをダウンロードするほど関心を示したわけですから、まったく新しいユーザーよりも、コアユーザーになってくれる可能性が高いのです。

すでにエンゲージメント対策としてユーザーのセグメンテーションを行っているのですから、アプリに復帰するユーザーを追跡するセグメントも作成するとよいでしょう。復帰する可能性があるのは、アプリをまだ携帯電話にインストールしているものの、一定期間アプリを利用していないユーザーです。例えば、120~180日間利用がないと、一般的にそのユーザーは離脱または利用を停止したとみなします。利用を停止したユーザーを再エンゲージするほうが、アプリを完全に削除してしまったユーザーを呼び戻すよりはるかに簡単なため、このようなユーザーはターゲットにする価値が非常に高いと言えます。

Blue Apronは、利用を停止しているユーザーに対し、彼らがその間に見逃した新しい人気レシピの情報を伝えるメールを送っています。また、Blue Apronは各ユーザーの料理の好みをすでに把握しているため、紹介するレシピを各ユーザーの好みに合わせて調整できます。

以上の取り組みはすべてリテンション対策の一環であり、利用を停止したユーザーに再エンゲージする戦略はほかにもあります。例えば、上で紹介したメールキャンペーンやプッシュ通知など、ユーザーに直接リーチする手法もその1つです。詳しくは、次のレッスンで取り上げます。

簡単に言うと、リテンション率を高め、離脱率を下げることが、価値の高いユーザー基盤の構築に直結するやり方なのです。

学習を続ける

次のレッスンでは、アプリのエンゲージメントを高めるためのベストプラクティスをご紹介します。

次のレッスン前のレッスン