App Annie | Academy

エンゲージ戦略

レッスン 7

マーケティングによるエンゲージメント改善

これまでに、アプリ機能とデザインのアップデートやユーザーフィードバックへの対応についてベストプラクティスを学び、そのほかアプリ内の改善点も見てきました。今回のレッスンでは、ユーザーへのアプローチ方法について説明します。

ここでは、新規および既存のユーザーにアプローチし、アプリに戻ってくる理由を提供する方法を見ていきましょう。

パーソナライズされたアプローチでユーザーを追いかける

パーソナライズはなぜ重要か

ユーザーにとって、アプリを利用することは非常に個人的な体験です。多くの人にとって、スマートフォンは生活の必需品なのです。したがって、エンゲージメント戦略をより個々のユーザーに合ったものにすることができれば、それだけ成功のチャンスが高まります。

メールの送信がうまくいく場合もあるでしょう。Facebookページのフォロワーへ直接メッセージを送るのも同様です。ただし、どんなチャネルを使うにせよ、自社アプリのユーザーを把握し、その知識を有効に役立てなくてはなりません。以下は、状況に応じてアプリ体験をパーソナライズする方法の例です。

  • ジオターゲティング:小売アプリなら、ユーザーが実店舗を訪れた際に、拡張現実(AR)機能のような専用サービスを提供できます(例:Ikea)。マッチング系アプリなら、近くにいる別のユーザーをハイライト表示するといった方法が使えます。
  • リワード:思わぬリワードを提供して、アクティブなユーザーを増やしましょう。この方法はクーポンを提供する小売アプリで特に効果的ですが、ゲームの場合でも、ユーザーがプレイするたびに特別なレベルアップやボーナスを提供することができます。
  • アプリ内メッセージ:興味を持ってもらえそうなアップデート、機能、アプリ関連ニュースをユーザーに通知しましょう。各メッセージには、明確なエンゲージメント目標を設定すべきです。

どんなチャネルを使う場合でも、人間味の感じられるアプローチをとるよう常に心がけましょう。それがユーザーには喜ばれます。

Airbnbはユーザーの位置を認識し、その土地のガイドブックを表示したり、近くで利用できるアクティビティを紹介したりします。そうすることで、ユーザーが予約時以外もアプリを開くよう促しているのです。個々のユーザーに合った、本当に役立つコンテンツを提供するこうした戦略は、エンゲージメントとロイヤルティを高めるのに効果的です。

アプリマーケティング:複数チャネルでのメッセージ施策

ユーザーのエンゲージメントを深めるには、彼らがどこにいても、スマートフォンを見ていない時でさえもリーチしなくてはなりません。重要なのは、適切なバランスをとることです。メッセージが少ないとユーザーがエンゲージされず、逆にメッセージが多すぎると、ユーザーがうるさく感じてアプリをアンインストールするかもしれません。

アプリマーケティングのすべての段階で、とりわけエンゲージメントを高めたい場合には、ディープリンクの使用を検討しましょう。ディープリンクを取り入れることで、メディアやデバイスをまたいでユーザーを認識する、高度にパーソナライズされた体験が可能になります。

一例を挙げると、Starbucksはユーザーの誕生日にドリンク1杯無料のサービスを提供していて、こうしたリワードやボーナスをメールで通知しています。通知メールにはディープリンクが含まれ、ユーザーがこれをクリックすると自動的にアプリが起動し、誕生日のスペシャルオファー専用ページに飛びます。このようにすることで、ユーザーがリワードを利用しやすくなり、同時にアクティブなアプリユーザーに転じる効果も期待できます。

反対に、もしStarbucksがディープリンクの代わりに通常のリンクを使っていたら、ユーザーはまずクリックしてアプリにログインし、さらにアプリ内を移動してリワードにたどり着かなければなりません。これははるかに非効率的で、楽しくないプロセスです。

ここからは、ユーザーエンゲージメントの改善とリテンションの向上に利用できるいくつかのチャネルを見ていきます。

アプリ内メッセージ

ユーザーエンゲージメントを深める最も効果的なタイミングは、彼らがアプリ内にいる時です。複数の調査から、アプリ内メッセージはプッシュ通知の約8倍も効果的であることが明らかになっています。エンゲージメントの改善にアプリ内メッセージを使う場合、以下のような点を考慮しましょう。

  • 文脈を考慮する。このタイミングでユーザーに声をかける理由は何ですか?最も効果的なのは、ユーザーの過去と現在の状況を把握しているメッセージです。例えば小売アプリなら、ユーザーが前に購入した商品を「再び購入する」際の割引を提供できるでしょう。旅行アプリなら、特定の都市へのフライトを予約したユーザーにホテルの割引を提供できるでしょう。
  • 適切なメッセージの種類を選択する。アプリ内メッセージで最も一般的なタイプは、モバイルデバイスの画面上部に表示するバナーか、全画面表示のインタースティシャルです。どのタイプが最も有効かを判断するには、テストが必要になるかもしれません。ユーザーに望むタスクを実行してもらいやすくするため、行動喚起用のボタンを設置するのを忘れずに。
  • 一般的な活用シーンを逃さない。アプリ内メッセージの使用が特に有効なのは、オンボーディングプロセス、機能アップデート、顧客サービスの告知、スペシャルプロモーション(サイバーマンデー、ホリデーセール、その他)などの通知です。

Google マップアプリは、高度なパーソナライズによって、より短時間の経路が見つかるとユーザーに通知します。これによってユーザー体験に真の付加価値を提供し、直接的なエンゲージメントを促しています。

プッシュ通知

プッシュ通知は、ユーザーのモバイルデバイスの画面上部に表示されるメッセージで、アプリを起動していない時にも表示されます。よく工夫されたプッシュ通知は、アプリへの関心を維持し、行動を促す非常に効果的な方法になりえます。プッシュ通知は無視することが非常に困難なので、適切なタイミングと戦略で実施するのがベストです。

複数の調査によると、プッシュ通知は現在、iPhoneとAndroidユーザーの約50%が許可しています。そのため、効果的なユーザーリテンション戦術になりうる一方、必ずしもアプリユーザーの大多数にリーチするものではありません。オンボーディングプロセスの段階で、プッシュ通知の許可を促しておくと、リーチするユーザーの数を増やすのに役立つでしょう。

プッシュ通知には2種類あります。1つはタイミングに基づくもので、もう1つはユーザーの行動やトリガーに基づくものです。以下にそれらを利用する際のガイドラインを示します。

  • プッシュ通知のタイミングは、ユーザーの反応が得られやすい時を狙う。例えば、ユーザーが朝の通勤時にライフスタイル関連の記事をよく読んでいるなら、プッシュ通知の戦略は、その時間(例えば午前9時)にユーザーに新しい情報を知らせるというものになるでしょう。
  • 特定の出来事に対して通知を送る。最も一般的なトリガーは、ユーザーがアプリのショッピングカートに商品を入れたのに、購入を確定していない場合です。通知を送って、商品がカートに入ったままだということを知らせましょう。特別割引やセールがまもなく終わる場合は、そのことも併せて通知します。
  • 通知をパーソナライズする。アプリをアンインストールしてはいないものの、エンゲージメントが低下したユーザーには、アプリに戻る行動に価値を持たせましょう。パーソナライズされたプッシュ通知を送り、利用再開のインセンティブを提示するのです。割引、クーポン、独占コンテンツはいずれも、ユーザーをアプリに戻る気にさせるのに役立ちます。
  • リッチな通知を試す。このタイプに含まれるのは、ユーザーの位置を認識したうえでの通知(「マッチング候補がすぐ近くにいます!」など)、アニメーションを使ったメッセージ、全画面表示のインタースティシャルなどです。ただし、従来的な通知方法ではないので、慎重に使うべきです。

Wazeがプッシュ通知を送るのは、ユーザーが移動に出発するタイミングです。このプッシュ通知はカスタマイズされ、パーソナライズされていて、アプリ内メッセージとして届けるより役に立ちます。ユーザーは出発する際、アプリを開いていない可能性があるからです。

メール

メールはユーザーにリーチする非常に効果的な方法になりえます。特に有効なのは、メールの使用率とクリックスルー率が高い、年齢の比較的高いユーザー層です。

アプリをアンインストールしたか、長期間利用していないユーザーを、メールでアプリに呼び戻すことができるかもしれません。どちらのケースでも、パーソナライズとインセンティブを取り入れることが、ユーザーを呼び戻すか失うかの違いを生む可能性があります。

メール送信は以下のような目的に有効です。

  • 特別割引、クーポン、パーソナライズされたリワードを提供する
  • 主要なアップデートのニュースを知らせる
  • アプリ内アクティビティ(ダイレクトメッセージの受信など)をユーザーに通知する
  • ライフサイクルに沿ったメール送信戦略を構築し、質問への回答、ケーススタディの紹介、行動の喚起を実施する

ただし、メールの本数や頻度が過ぎると、ユーザー離れを招いてしまうことを忘れずに。送信しすぎるとユーザーはメールを無視するようになるでしょう。そうならないレベルを見極めるため、どの程度の頻度でメールをユーザーに送信すべきか実験する必要があります。ことわざにあるように、まさしく「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。

ソーシャルメディア

ソーシャルメディア上で自社アプリのユーザーと豊かな関係を築くことは、ロイヤルティやエンゲージメントの高いファンを増やす効果的な方法になりえます。ソーシャルメディアは、既存ユーザーや潜在的な新規ユーザーに直接コンタクトする理想的な機会を提供してくれますが、利用する前にまず戦略を用意しましょう。

  • アプリの魅力を宣伝しつつ味方も増やす。自社アプリの最新情報を広く伝えるとともに、ソーシャル空間にいる他社アプリをフォローし推奨しましょう(パートナーになることもあり得ます)。
  • ブランドの包括的なソーシャル戦略に従う。自社アプリがすでにソーシャルで発信しているブランドの一部なら、親ブランドが築いているより大きなソーシャル世界に、アプリの存在をうまく組み込むことが可能です。複数のソーシャルメディアへの投稿についてブランドのやり方を踏襲する一方で、アプリ独自の話題やコンテンツを目立たせるようにします。
  • ディープリンクを活用する。ユーザーがクリックするとアプリが自動的に開くようにします。
  • インフルエンサーを起用する。理想的なユーザーとつながりを持つ、信頼できるインフルエンサーを見つけ、アプリをより幅広いオーディエンスに勧めてもらいましょう。
  • ソーシャルメディアのチャネルごとにユーザー属性を追跡・分析する。例えば、Facebook 経由のユーザーがTwitter経由のユーザーよりエンゲージメントが高いことがわかったら、メディア支出を最も効果的なチャネルに集中させるよう調整できます。

Tinderはソーシャルメディアチャネルでの人気を利用して、アプリ外でユーザーをエンゲージしています。特に、Tinderのチャリティーキャンペーンはブランド認知を拡大し、ユーザーと非ユーザーの両方を深くエンゲージするのに役立っています。

フォーラム

ユーザーフォーラムは、嗜好の似たユーザー同士がやり取りする、組織立っていない、やや混沌とした空間のように思えるかもしれませんが、フォーラムの人気は非常に高く、特にゲームコミュニティーでは大人気です。フォーラムで存在感をアピールできれば、コミュニティーの最も熱心な層とコネクトできることになります。

ただし、注意してください。非常に警戒心の強いフォーラムもあります。こちらのメッセージがあからさまなマーケティングや信用できないコンテンツだとメンバーに疑われると、メリットよりダメージの方が大きくなってしまいます。フォーラムに集まっているのは、知識豊富で敬意を払うべきユーザーです。このチャネルを使うなら、信頼性と透明性の高い発信を心がけましょう。

すべてのチャネルで情報を統一する

すべてのチャネルでできる限りメッセージを一致させることが大切です。ユーザーが、メール、ソーシャル、アプリ内メッセージ、プッシュ通知で一貫したストーリーを受け取っていると、アプリを訪れて、エンゲージする可能性が高くなります。複数チャネルを利用するやり方は、裏側で必要な調整が増えますが、非常に大きな効果につながる可能性があります。

 

学習を続ける

次のレッスンでは、自社アプリに最適なエンゲージメント戦略を探っていきましょう。

次のレッスン前のレッスン