App Annie | Academy

エンゲージ戦略

レッスン 6

アプリ内施策によるエンゲージメント改善

アプリのエンゲージメントを高める方法を見つける取り組みは、アプリのリリース初日に始まり、そこから休むことなく続きます。しかし幸いにも、ユーザーのエンゲージメントをより深め、よりロイヤルティを高めるための実践的な方法はたくさんあります。

すでにご存じのように、新規ユーザーの多くは、初めてアプリをダウンロードした後、利用を継続せずに放置します。ただし、このように利用を停止したユーザーに再び興味をもたせ、離脱を防ぐ多くの戦略があります。

アプリ内部の施策で彼らにリーチすることもできます。例えば、新機能を追加したり、ユーザーにアプリを案内するプロセスを見直したりといったことです。初期ユーザーのフィードバックに注目することで、貴重なインサイトを得られる場合もあります。そのほか、メール、ソーシャルメディア、プッシュ通知など、外に向けて発信するコミュニケーション形式にも目を向けましょう。

まずは、アプリの内部にアイデアを求めましょう。

アプリ機能の追加やアップデート

自社アプリがユーザーのために解決しようとしている主な問題は?それ以外にユーザーが求めていそうなものは?競合アプリにあって自社アプリにない機能は?エンゲージメントの向上を目指すにあたっては、最初のアプリ戦略立案で築いた基礎に立ち返って、アプリの次の機能を開発する手がかりにしましょう。

ユーザーにアプリの利用を促す1つの方法は、新機能の追加や既存機能の大幅改良です。追加する機能が、メディアに取り上げられたり、その分野で一般的になっている機能を改善したりするものなら、なお効果的でしょう。定期的なアップデートは、アプリ体験を新鮮かつ魅力的に保つのに役立ち、ユーザーに直接コンタクトを取る良い理由になります。

ほかにも改善が必要な部分を見つけるために、イベントトラッキングを調べて、ユーザーがどこで離脱しているかを特定しましょう。ダウンロードとインストールの間でしょうか?ログインページからホームページへ移る際など、アプリの特定画面の間ですか?アプリがゲームなら、プレイヤーは特定のレベルでいつも関心を失っていますか?

これらの弱点は、ユーザー体験の妨げになっている要素がアプリに存在することを示しています。そしてそれが、対策をとるべき場所なのです。

Netflixが気づいたのは、多くの視聴者が――特に発展途上国で――信頼性が高く手頃な料金のモバイルアクセスを必ずしも利用できるわけではない、ということです。この状況に対処するため、Netflixはダウンロード機能を追加し、ユーザーがオフラインで視聴できるようにしました。その結果、はるかに多くのユーザーが、いつでもどこでもコンテンツにエンゲージできるようになりました。

ユーザー体験の最適化

ユーザー体験(UX)とデザインは、ユーザーの行動に影響を与えます。同様に、ユーザーの行動も、製品のデザイン変更の方針に影響を与えます。ユーザーエンゲージメントをより正確に把握するには、ユーザーがアプリを初めてインストールしてから、そのアプリを大いに気に入り、忠実な長期ユーザーになるまでのユーザー体験全体を分析する必要があります。

長期的な関係を構築する

パワーユーザーは、最終的にアプリと緊密な関係を持つようになります。コアユーザーも同様です。アプリとユーザーの間でこのような良好で長期的なつながりを築くことが、すべてのアプリ開発者の目標となります。

このプロセスは、主に次の3つのフェーズで構成されます。:

  • コアバリューの発見: ユーザーが「これはいい!」と感じ、アプリのコアバリューを発見するまでに、どれくらいの時間がかかるでしょうか?
  • 探索: プリを一通り使ってみたユーザーが、アプリのコアバリューをより深く理解したり、アプリの機能に信頼を寄せる新たな要素を発見したりできるでしょうか?
  • 習慣の形成: アプリのコアバリューに習慣性を持たせ、ユーザーに何度もアプリに戻ってきてもらうには、どうすればよいでしょうか?

発見から習慣形成にいたるこの3つのフェーズすべてを、新しいユーザーにできるだけ迅速かつスムーズに経験してもらうことが、価値の高いユーザー基盤を構築する唯一の方法です(また、このプロセス全体が、オーディエンスの共感を得るコアバリューの開発に反映されるということを、忘れないようにしてください。コアバリューと理想的なユーザーの適切な組み合わせを見つけるには、数回の試行錯誤が必要になることがあります)。

では、UXの検討プロセスをさらに詳しく見てみましょう。

ユーザージャーニーを設計する

新しいユーザーを自社アプリに呼び込んだとします。そのユーザーは、自分の期待していた目標をどれくらい簡単に達成できるでしょうか。アプリ開発者とマーケターの目標は、A地点(ユーザーがアプリと初めて出会う地点)からB地点やC地点(ユーザーが、収益を生み出す忠実な長期ユーザーに変わる地点)までのユーザージャーニーを設計し、離脱者やわかりにくい機能をできるだけ減らすことにあります。

アプリのユーザー体験は、オンボーディングから始まります。具体的には、最初のいくつかの画面で、新しいユーザーに自社アプリとそのコアバリューを知ってもらう段階です。このプロセスを、できるだけ円滑でシームレスなものにし、ユーザーが短時間で終えられるようにする必要があります。

Facebookでは、他のユーザーを10人以上フォローした新規ユーザーは、アプリを使い続ける可能性が非常に高いことを発見しました。そのため、オンボーディングプロセスにある新規ユーザーが、彼らの既存の知り合いとすぐにつながれるようにすることに注力しました。

たいていの場合、初期のユーザーフローにおける問題点は、ベータローンチやソフトローンチの段階で明らかになります。初期ユーザーフローは、その後のエンゲージメント率に大きな影響を及ぼす可能性があります。したがって、初めてのアプリ体験を最適化することがきわめて重要です。

最初のアプリ体験後も、ユーザーはアプリの画面や機能を、迷うことなく直観的かつスムーズに操作できているでしょうか?ユーザージャーニーのあらゆる段階で、ユーザーが疑問に思っている点や迷っている点に対処できているでしょうか?

アプリの「エンゲージメントの文脈」を定義する

PCとは違い、モバイルではユーザーがさまざまな環境でアプリを利用します。そのため、各ユーザーがそれぞれ異なる結果を手にする可能性があります。

全体的なユーザー体験を完全に把握するには、複数の考えられるシナリオを最初から最後まで実践することが欠かせません。ユーザーが自社アプリから情報を得ているのは、店舗で商品を探しているときでしょうか?それとも、自動車の後部座席に座って、退屈しているときでしょうか?環境の違いは、ユーザーのエンゲージメントにどのような影響を与えているでしょうか?

アプリのエンゲージメントで考えられるすべての文脈を想定したシナリオを実践することで、エンゲージメントを促進する新たな要素が見つかる可能性が高くなります。小売アプリなら、ユーザーが店舗を訪れたときに、すぐにクーポンを提供するといったことが考えられるでしょう。サブスクリプション制の動画ストリーミングアプリなら、多くのユーザーが視聴オプションを探し始める時間帯に、新番組のアラートを送信することなどができます(例えば、火曜の夜の、仕事が終わった時間帯など)。

ユーザーのさまざまな特性――アプリ内でよく行う行動、物理的な環境、モチベーションなど――を検討することが、より狙いを絞った(かつ魅力的な)アプリ体験の構築に役立つはずです。

マッチングアプリのTinderは、2016年の大晦日にエンゲージメントが急増したのを受け、いつもより相手が見つかる可能性が高いことを知らせるメッセージをプッシュ通知で送信しました。このような現実世界の文脈を活用した結果、Tinderは1日あたりのエンゲージメント率で自社の最高記録を更新しました。

「このような通知の非常に素晴らしい点は、(利用中のユーザー数が)ピークに達していることをユーザーに知らせることで、ユーザー全体の(マッチングの)成功率が高くなることです。倍々ゲームでユーザーの活動がさらに活発になるのです」 - Tinder CEOのショーン・ラッド氏(TechCrunchのインタビューにて)

ユーザーのフィードバックとアプリのレビューを活用する

ユーザーがアプリを利用するようになると、アプリストアの評価やレビュー、あるいは顧客サポート窓口を通じて、自分の考えを率直に伝えるユーザーが現れるようになります。ユーザーからのフィードバックは、肯定的なものばかりではないかもしれません(当然、読むのがつらいものもあるでしょう)。しかし、コアユーザーの心を掴むきっかけをもたらしてくれます。

そこで、ユーザーのフィードバックを、製品の改善やリテンションに関するアイデアの情報源として活用する方法を紹介しましょう。

ユーザーレビューに対応する意味

ユーザーレビューは、アプリのうまくいっている点とうまくいっていない点を直接知ることができる、とても貴重な情報源です。評価やレビューを見つけたら、すぐに行動を起こしましょう。

  1. レビューを調べ、顧客体験の改善に役立つインサイトを獲得する:ユーザーから提案があれば、ぜひ検討してください!その提案が実行する予定のないアイデアであったとしても、どのような返答ができるかを考えましょう。ユーザーに直接語りかければ、そのユーザーが引き続きアプリを利用したり、戻ってきたりする可能性が高まります。
  2. アプリストア最適化(ASO)に役立つ、質の高いキーワードを見つける:「ユーザー獲得」で説明したように、ユーザーのレビューには、アプリの検索順位を高めるのに役立つ強力なキーワードが数多く含まれています。
  3. ユーザーの提案を参考に、新しい機能や強化するポイントを検討する:例えば、携帯電話のフォトストリームに画像をすぐに保存できる手段をユーザーが求めているなら、将来のアップデートでその機能を提供することが考えられます。
  4. 気づいていない可能性のあるバグやパフォーマンスの問題を見つける:QAプロセスで対象にしていなかった一部のデバイスや地域で起こっている未確認の問題を発見するのに、この取り組みはきわめて有効です。
  5. ユーザーに直接返答する:ユーザーの問題に耳を傾け、対応してください。ユーザーの提案に直接対応することは、さらにロイヤルティの高いユーザー基盤の構築に役立ちます。ユーザーがつながりを感じたり、自分が評価されたと感じたりするようになるからです。

Instagramの最近のレビューには、フォローのリクエスト表示をアルファベット順でなく時間順に変更できるようにしてほしいとの声が、数多く寄せられています。Instagramが最終的にこのフィードバックをアップデートに反映させるかどうかはわかりません。しかし、ユーザーの嗜好やニーズを知るうえで、これは非常に価値あるインサイトです。

カスタマーサポートの問題解決能力を強化

カスタマーサポートの担当者と電話で長時間やりとりしたのに、結局問題の解決方法がわからなかったという経験は誰にもあるでしょう。完璧なカスタマーサポートを提供するのは、どんな企業にとっても難しいことです。それでも、できる限り適切なタイミングで、それぞれのユーザーに合ったサポートを提供するのが望ましいことは間違いありません。

実際、丁寧に話を聞いてもらえると感じられるカスタマーサポート環境を整えることは、エンゲージメントの強力な推進要素となる可能性があります。以下に、いくつかのベストプラクティスを紹介しましょう。

  • 問題に対応するだけでなく、事前に手を打つ:ユーザーの評価やレビュー、その他ユーザーの抱える問題を積極的に把握し、そうした直接的なフィードバックから不具合を特定して、機能のアップデートや自社のコンテンツチャネル(ブログなど)で対応しましょう。
  • ユーザーが直接フィードバックを提供できる手段を用意する:アプリストア経由以外の手段を用意しておくと、星1つの評価を防ぐだけでなく、星5つの評価を促す効果が期待できます。
  • ユーザーが自分で解決策を探すための手段を提供する:ユーザーの多くは、検索機能付きのFAQなど、問題解決に役立つ情報を探そうとします。したがって、そのためのリソースを必ず用意しておきましょう。また、カスタマーサポートとユーザーの間にオープンで協力的な関係を築くことで、リソースの利用をさらに促すことができます。人間味を感じさせることは、長期的なエンゲージメントを確立するのに大いに役立つのです。

 

学習を続ける

次のレッスンでは、自社アプリに適したユーザーへのアプローチ方法について詳しく見ていきます。

次のレッスン前のレッスン