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組織を変えなければ、デジタル化の成果は得られない 株式会社ドワンゴ・夏野 剛社長に聞く

App Annie

「今こそ取り組むべきCX~DXからCXへ~」と題したウェブセミナーを開催しました。株式会社ドワンゴの夏野剛代表取締役社長に、実際のApp Annie のデータを基に、アフターコロナの世界で日本企業がどう変わっていくべきかを語っていただきました。

5月26日に、「今こそ取り組むべきCX~DXからCXへ~」と題したウェブセミナーを開催しました。株式会社ドワンゴの夏野剛代表取締役社長に、実際のApp Annie のデータを基に、アフターコロナの世界で日本企業がどう変わっていくべきかを語っていただきました。

デジタルツールは経営陣こそ使いこなしてほしい

ーー本日のアジェンダは3つあります。(1)DXからCXとはどういうことか(2)ファクトから見る考察(3)日本のビジネスパーソンへの提言――です。

当社を一言で説明すると、データプロバイダーです。ゲーム会社、メーカーや金融機関などのアプリのユーザー獲得やマーケティングに幅広く活用していただいています。本日は、当社のデータを見ながら夏野さんに語っていただきます。

 

夏野剛・株式会社ドワンゴ代表取締役社長(以下、夏野): DX(デジタルトランスフォーメーション)は、ここ2年ほど大企業を中心にバズワード的に流行しています。私から言わせてもらえれば「今さら」という印象です。

アメリカは1990年代後半からITツールを経営に生かしてきました。日本の場合、デジタルツールは入ってきていますが、欧米はトップがマネジメントに使っています。例えばデータでは、アプリがどういう人に使われていて、他社のものはどう使われているのかが明確に分かります。このデータを経営層が見ていかなければなりません。日本はこれをやってきませんでした。

 

コロナ禍でリモートワークが増え、出勤管理ツールを使う会社が多いと思います。欧米では経営陣がツールを使って、従業員がどのような働き方をしているのかを見ることが当たり前なのに、日本ではシステムへのアクセスの仕方すらわからない状態です。1996年から2018年までの約20年間、アメリカはGDPが155%成長しています。これに対し、日本はなんと0.3%。全く成長していません。

 

最初の問い「DXからCXってどういうこと?」の答えは、「CX(コーポレートトランスフォーメーション)経営に変革しなければならない」ということです。どんなにテクノロジーが進化しても、「人の側の仕組み」を変えていかないと、デジタルの果実は得られない。人の側の仕組みとは、役員構成や人事システムです。デジタル化されれば組織の階層はシンプルになるはずなのに、変わっていません。社長、副社長、専務、常務、部長、担当部長…。こんなことをずっとやっています。

 

ドワンゴは事業本部があって本部長、事業部長、各セクションのマネージャー、その3つです。それと一般役職で終わり。管理職が多いと何をやっているか分からなくなってしまう。

 

そしてもう一つ、カスタマーエクスペリエンスです。これまで日本のメーカーでは、供給側の都合で商品スケールが決まっていて、UIが軽視されてきました。僕もそういう会社にいたことがありますが、在庫管理のしやすさで携帯の機種名を決めていました。顧客に分かりやすい型番にしたら「どの機種が新しいか分かりにくくしなければ売れない」と本気でそんなことを言われました。今そのツケが回ってきていて、この10年で携帯キャリアは全く成長していないでしょう。

 

対価を払うに値しない商品やサービスが売れるわけがありません。新型コロナウイルスで崩れたいろいろな前提を、このタイミングでしっかり考えたほうがいい。

 

ーーDXの定義はデジタルを用いて組織やビジネス構造を変革していくことだから、CXと同義と思っている人が多いのではないでしょうか。

 

夏野:DXからCXという言葉を変えるだけで役員陣への印象が変わります。DXだと役員は社員に任せてしまう側面が大きい。それがCXだと役員の責任になります。

 

ーー日本を立て直すというフェーズでは、役員が腹をくくらなければならないという刺激を込めてCXを強調するということでしょうか。

 

夏野:そうです。ただ問題は、今このウェビナーを見ている人だって自分が役員になり経営側になったら、CXをやりたくなくなります。なぜか。リターン(報酬)がないからです。僕自身もリターンのない世界にいて、会社が何兆円稼いでも報酬は変わりません。しかし、僕の場合は趣味だからしょうがない。政府の規制改革推進会議の委員も報酬はわずかだし、役人には恨まれるし…。

でも皆さんが偉くなった時にはぜひリスクをとって日本の成長のために頑張ってほしい。日本の何がいいかというと、20数年間全く成長していないので、成長し放題という点です。

 

4月のアプリ上位10社の収益額は285億円

ーー次のテーマは「ファクトから見る考察」です。

App Annieのデータで説明します。示したデータは、2020年の3~4月の緊急事態宣言が出されたタイミングで、アプリの新規ダウンロード数をまとめたものです。

ーートップ20のうち日本企業が6社、あとの14社は外資系です。夏野さんはどう見ますか。

 

夏野 日本市場において日本企業が少ないというのは、寂しいような仕方ないような感じですね。他の国でも似たような結果でしょうか。

 

ーー Zoomなどアメリカが抜きんでています。世界各国でダウンロード数を伸ばしています。 ゲームを除くと116億7000万円で、漫画が上位にランクインします。ゲームと比べると金額は大きくはないですが、1年前は74億円だったので、市場としては大きく伸びています。

 

どんな小さなことでも声を上げてほしい

ーー最後にCXについて。CXは役員が腹をくくってやらなければならないというお話でした。それではカスタマートランスフォーメーションについてはどのような理解をすればいいでしょう。

 

夏野 お客様に最高のサービスや商品を提供することです。そのためにデジタルツールやデータ利用の方法を変えていくのです。顧客の本当の姿を知らなければ、最高のCXはつくれません。ファクトベースのデータは、われわれが知らない本質を教えてくれます。

 

それと、どんなささいなことでも声を上げてほしい。それを評価してくれる上司が必ずいます。僕は社内公募や、僕へのダイレクトな提案をすごく大事にしています。社長に直接メールして、プレゼンするってとても勇気がいることでしょう。その勇気を出しても「新しいことをやりたい」という熱意がある人に仕事を任せるのが一番いい。

日本人は人を思いやる心が深く、ビジネスの上ですごく有利な点だと思っています。とにかくやりましょう、動きましょう。大切なことは直したら必ず良くなることを放っておかないことです。

 

ウェブセミナーの詳細はオンデマンド動画からご視聴が可能です。

 

2020 M07 6

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