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盛り上がる動画ストリーミング市場、スポーツ中継やオリジナルで躍進するFOD

App Annie

競争が激化する動画ストリーミング市場。FOD(フジテレビオンデマンド)におけるデータを活用したコンテンツ企画やマーケティングについてお話をお伺いしました。

毎年、収益・ダウンロード数などを基にアプリ市場の成長に貢献した企業に贈られる「Top Publisher Award」。「ブレイクしたエンターテインメントアプリ部門で、フジテレビが運営する動画配信サービス「FOD」が12位にランクインしました。競争が激しい市場で、どうデータを活用してコンテンツを作っているのか、株式会社フジテレビジョン総合事業局コンテンツ事業センターコンテンツ事業室・部長職でFODの事業責任者、野村和生氏にお話をお伺いしました。(敬称略)

アニメから「大河」まで 多様なジャンルを配信

ーー まずは受賞おめでとうございます。

フジテレビのアプリが受賞するなんてめったにないので嬉しいですね。聞いた時は驚きました。

 

ーー非常に分かりやすいですね。サービスのコンセプトについて教えていただけますか?
フジテレビのコンテンツが中心ですが、あらゆる動画を見ることができるようにしています。誤解されるのが「フジテレビのサービスだからフジの番組しか配信していない」という点。大きな誤解で、アニメもNHK の大河ドラマも配信しています。さらにはドラマの原作を含め電子書籍も提供しています。

 

ーーFOD のアプリはKPI(重要業績成果指標)を何に設定しているのでしょうか?

さまざまな指標を設定していますが、有料会員を増やすことが一番大きいです。FOD はあえて有料と無料を合わせることで一つのアプリ内で完結させ、FOD アプリ上での視聴体験を最大化したいという狙いがあります。

 

ーー 気になるのが888円という価格設定です。価格を変えずにここまできていますが、たまたまでしょうか?

888円という価格を決めたのは私なのですが、ざっくばらんに言うと、(フジテレビが8チャンネルなので)社内で説明の必要がないからです。通常、新規事業を立ち上げるなら、この価格で利用者が契約してくれるのかなど、綿密なシミュレーションがされますが、算出根拠も当然聞かれませんでした。(笑)。

 

ーー もっと聞きたいですね。会社からゴーサインを引き出すためにどのように進めたのですか?

利益を出していくためにやります、と。私が着任した2012年と比べて売り上げは10倍に伸びましたが、動画配信市場が拡大している現在、まだまだ投資フェーズだと思っています。ただ、FOD 自体が始まったのが2005年と早かったので、どうしても利益は求められる。2015年1月に最初は全てブラウザでAVOD (広告を掲載することで無料動画配信できる形態)をやろうとしておりましたが、ブラウザのネイティブプレイヤーでは広告の制御が難しいという理由で、専用の再生アプリをつくりました。AVOD が利用者に受け入れられ、専用の再生アプリのDL数が増加していく中で、どうにかしてこの無料視聴ユーザーを有料転換したかったのですが、TVODではハードルが高く、会員獲得導線も複雑になっておりました。それを抜本的に変えるため、SVOD (定額動画配信)を投入し、ただの再生アプリから本格的な見放題アプリにリニューアルし、さらにユーザーの導線を整理し、AVOD →SVOD →TVOD という流れをつくりました。非常に安価な配信事業者も存在しますが、コンテンツを制作している側としてコンテンツの安売りは絶対にしたくなかったので、888円は後発で「刺せる価格」としてはベストだったと思います。うちのチャンネルが8でラッキーでした。

 

一般受けしなくても若者に刺さる番組とは

ーー今回、12位にランクインできたのは、何が効いたと考えていらっしゃいますか?

スポーツのライブ配信は大きかったと思います。プロ野球、ワールドカップバレーボールや全日本フィギュア、四大陸フィギュア、東京マラソンもライブ配信しました。それとオリジナルドラマを制作していて独自コンテンツを展開できたことでしょうか。

配信事業の観点からいうと、コンテンツ戦略において「地上波一本足打法」だと、地上波の業績に左右されてしまいます。他のコンテンツでもしっかり新規顧客を獲得できるような体制にしたことが効いたと思います。

 

ーー テレビを所有しない人が増える中、視聴率が高いコンテンツが必ずしも受けるわけではないのでは、と思っていますが、実際はいかがでしょうか?

世帯視聴率がそれほど高くなくても、若年層に刺さる番組はあります。恋愛ドラマが顕著で、うちで言えば「月9」枠で放送した「リッチマン、プアウーマン」や「好きな人がいること」です。FODのオリジナルドラマでも同様の結果が出ています。ただ、若い人だけをターゲットにしてしまうと、そもそも若年層の割合が減っているので視聴率には結び付きにくいです。

一方で、配信と視聴率の相性が合うケースが一つだけあって、最終回まで視聴率が伸びるドラマです。視聴率が伸びるということは人から勧められたり、話題になったりしているから。ですので番組を見逃してしまった方にはAVODでしっかりキャッチアップしてもらい、3、4話目から初めて見る人はSVODで1話まで遡れるようにすることが大事ですね。

 

ーー 一つの勝ちパターンですね。コロナ禍においては、動画配信サービス各社は非常に多くの番組を配信していました。競合をどうご覧になりますか?

競合に追随して何でもかんでも無料で配信する必要はないと思っています。コロナ禍で地上波の新作ドラマの放送がストップしたりアニメの放送が延期される中、4・5・6月に投入予定のオリジナルドラマが撮影を終えていたので、コンテンツ供給が止まらなかったのは良かった点です。

 

「実験」重ねユーザーの「解像度」を上げる データは競合との比較に活用

ーー データ活用の部分についてお伺いしたいのですが、当社のジレンマでもあるのが「データは過去のもので、この先を的中させるものではない」ということです。顧客の好みに合うサービス提供のためにどのようなことをしていますか?

FODのユーザーは若い女性が非常に多いので、ラブコメが喜ばれるのは分かっています。でもそれ以降は「実験」なんですよね。成功例で言うと「ポルノグラファー」というボーイズラブ(BL)のドラマです。BLが人気なのは知っていますが、FODのユーザーが必ずしもBLを見るとは限らないので実験でした。

 

ーー ユーザーの「解像度」が上がると、コンテンツに活かしやすいですね。アップアニー のデータはどのように活用されていますか?

アップアニーのダッシュボードを使って、常に競合である同業他社と比較しています。動画配信サービスは、ユーザーのスマートフォンの画面の取り合いです。そういう意味では動画配信アプリだけでなく、画面を占有しているアプリは何なのか気にしていますね。

 

ーー コロナ禍では、世界的にアプリの利用時間が伸びているデータが出ています。御社はアップアニーを導入して3年目ですが、変化はありますか?

社内に向けたプレゼンや資料作成の際に、競合のダウンロード数などをデータで示せるのはありがたいですね。実績を公表していない同業他社が多いので、導入以前は暗中模索でした。適正価格を検討する時にも他社のデータを参考にしています。

 

ーー お話を伺ってみて思うのは、非常にスピーディーに意思決定がなされているということですか?

テレビ局の特徴かもしれませんが、局長などの役職のほかにプロデューサーがいます。20代でも40代でも番組制作の予算を持っていて権限は同じです。若いころからジャッジする訓練を積んでいることが関係していると思います。会社側も「社員に任せる文化」が醸成されています。

 

ーー 最後に今後挑戦したいことを教えてください。

FODの会員はさまざまな決済サービスを使っていますが、今は決済手段によって使えるサービスが異なっているので、ユニバーサルにしていきます。また、電子書籍も含めワンアカウントで全てのサービスが使えるようにすることも目標です。今秋にもアプリをリニューアル予定なので、質の高いコンテンツを提供し続けたいと思っています。

 

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2020 M07 21

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