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Googleに聞く――モバイルマーケターのベストプラクティス:成功をどのように測定するか

App Annie

Googleのアメリカ地域のアプリプロモーション担当マネージングディレクターを務めるジェーン・バトラー氏が、業界の専門家として、モバイルマーケティングのベストプラクティスについて語ってくれました。そのインタビューを3部構成でお届けします。

Googleのアメリカ地域のアプリプロモーション担当マネージングディレクターを務めるジェーン・バトラー氏が、業界の専門家として、モバイルマーケティングのベストプラクティスについて語ってくれました。そのインタビューを3部構成でお届けします。


消費者が1日に3時間をアプリに費やすなか、モバイルは今も消費者の関心を引き寄せており、ビジネスの目標を達成するための重要なチャネルとなっています。しかし、モバイルマーケティングをどこから始めるべきか判断するのは、難しいものです。そこで、App Annieのグローバルマーケティングおよびインサイト担当EVPであるダニエル・レヴィタスが、Googleでアメリカ地域のアプリプロモーション担当マネージングディレクターを務めるジェイン・バトラー氏とともに、自社が成功するために必要なモバイルマーケティングのベストプラクティスについて話を聞きました。3部構成インタビューの第1部では、アプリが全体的なマーケティング戦略に欠かせない要素である理由と、アプリプロモーションを最適化する方法について取り上げました。続く第2部は、マーケターが自社の広告キャンペーンが成功しているかどうかを判断する方法と、そのための重要な指標にスポットを当てます。

                                      ジェーン・バトラー氏

                          Googleのアメリカ地域アプリプロモーション担当マネージングディレクター

ジェーン・バトラー氏は、Googleに15年間在籍するベテランスタッフとして、同社の広告事業で多くの指導的役割を担ってきました。彼女は現在、アメリカ地域のアプリプロモーション担当マネージングディレクターを務め、Googleのアプリプロモーション関連ソリューションの商業戦略と営業活動を指揮しています。今の役職に就く前は、アメリカ地域パフォーマンスソリューション担当マネージングディレクター、業界毎(ショッピング、旅行、ファイナンス、自動車)の検索イニシアティブ担当グローバルディレクター、米国西部地域の営業担当マネージングディレクター、米国旅行業界担当ディレクターを歴任しました。


ダニエル・レヴィタス(DL):マーケターが自社の展開するキャンペーンが成功しているかどうかを判断する方法を教えてください。モバイルでの成功をどうすれば測定できますか?

ジェーン・バトラー氏(JB):まず言っておきたいのは、アプリプロモーションとその測定がまだ比較的新しいものであり、この分野に関して自分はかなり遅れているのではないかと不安に駆られている人は、決して少なくないということです。概して、業界はまだ答えを模索している段階です。

そもそもマーケターのほとんどは、アプリが業績にもたらす効果を過小評価しているのではないかと思います。理由の1つは、モバイル全体の価値評価に、アプリが加えられていないことにあります。マーケターの中には、測定方法が異なる、チームが分かれているなど、縦割りの要素が多く、結果として、アプリが十分に評価されない現状があります。ビュースルーコンバージョン(VTC)のレポートなど、ちょっとした調整を施すことで、マーケターがアプリパフォーマンスの構成要素を把握できるようになります。

キャンペーンが成功したかどうかは、イエスかノーで答えを出すものではありません。問題は、マーケターがどんなインサイトを得ようとしていたのか、また、そのアプリにエンゲージしているユーザーの価値をどのくらい細かく測定できるかです。細かいユーザー行動と、それが全体的なビジネス目標にどの程度寄与しているかを明らかにできれば、単純に成功か失敗かではなく、自分がどれだけの価値を生み出したのか、さらに価値を生み出すにはどうすればよいかが見えてくるのです。


DL:指標といっても、インストールあたりのコスト、インストール数、リテンション率など、実に数多く存在します。成功を測定するうえで評価すべき、最も重要な要素はどれだと思いますか?

JP:それはアプリの種類や、アプリが成熟サイクルのどの段階にあるか、アプリのビジネスモデル、およびビジネス目標によって異なります。重要なデータポイントはそのマーケターによって、また彼らが何を達成しようとしているかによって変わってくるのです。初期のマーケターなら、ユーザー獲得と月間アクティブユーザー数の増加に重点を置くでしょう。それは自然なことで、その場合に注目すべき指標は、ダウンロード数、アクティブユーザーのセッション数、利用時間です。アプリの成熟度が進んでくると、マーケターがより注目すべき指標は、リテンション率や再エンゲージメントになります。

加えて、定量的と定性的、両方のフィードバックを得ることが重要です。というのも、マーケターの多くは後者に注意を払わない傾向にあります。彼らはユーザー体験の調査結果や、アプリストアでの評価、顧客からのレビューに目を向けません。ダウンロード数にばかり注目していると、全体像や今後のチャンスを見落とすおそれがあります。

こうした見落としの好例として1つの統計データを上げると、63%のユーザーが、値引きを受ける条件としてブランドにアプリのダウンロードを強制された場合、通常は値引きを受けた直後にアプリを削除すると答えています。ダウンロード数だけで成功の度合いを測っていると、知らず知らずのうちにネガティブな体験によってユーザーを遠ざけてしまう可能性があり、そうしたユーザーを後から再エンゲージするのは、はるかにコストがかかるでしょう。

エンゲージメントを向上させる、またはブランド体験を高めるなど、マーケターが達成しようとする目標は、キャンペーンごとに大きく異なります。測定プロセスの一環として、ユーザーがとっている重要な行動を特定し、それによってインサイトを導き出すための適切なデータを得ることが必要です。

アプリプロモーションがもたらす価値を最も正確に示してくれる、汎用的なソリューションは存在しません。これは何度も繰り返して、常に調整を施していく作業なのです。すべてのキャンペーンは、現在と将来のユーザーを理解するためのインサイトを収集するミッションでなくてはなりません。これは「また次の機会に生かせるどのようなインサイトが得られたか」を重視する連続的な取り組みであり、その時限りの「このキャンペーンは成功したか否か」という評価ではないのです。


DL:アプリストアのレビューなど、定性的なフィードバックに目を向けることが重要とおっしゃいました。自らをモバイルファーストと位置付けない特定分野の企業にとって、ネットプロモータースコア(NPS)は本当に重要な要素であり、したがって評価やレビューの優先順位をもっと高くすべきだとお考えになりますか?

JB:考えないわけではありません。先ほども例に挙げた銀行や小売業者、外食産業、その他の長く続いている特定業界において、ユーザー体験は本当に重要な要素であり、したがって評価とレビューの優先順位は平均より高くなるようです。多くのアプリの評価にはNPSの要素が伴い、またそれは、組織におけるアプリの立ち位置にも関係しているかもしれません。アプリには2つの側面があります。マーケティングの側面と、製品またはチャネルとしての側面です。

ただ、当社が一緒に仕事をしている人たちが、ビジネス価値そのものよりも、NPSを重視しているということはないですね。私たちがパブリッシャーと、ユーザー基盤やエンゲージメントを伸ばす方法について具体的に話し合う際に、他のユーザー体験に関連する要素と比べて、NPSがキャンペーンを展開する際の主な根拠となったり、主な測定項目になったりすることはありません。

また先ほど述べたように、よく見られる大きな障壁として、組織内でチームがばらばらに分かれているために、縦割りの構造が形成されます。こうした縦割りの構造は、組織がモバイルファーストで始まっているか否かに関係なく存在します。例えば、ブランドが開発チームと製品チームを分けていたり、あるいはブランドに注力するチームと、パフォーマンスやユーザー獲得に注力するチームが別に存在したりといったケースを目にしています。このような断絶の事例は、従来型の組織だけでなく、最近の組織にも存在します。その結果、共有しているインサイトはともに協力して取り組むべき重要なものであるにもかかわらず、それぞれのマーケターの捉え方は大きく異なってくるわけです。これはユーザー体験にとって何がベストかという問題であると同時に、最も価値のあるユーザーといかに長期的に関係を構築するかという問題でもあります。

個人的に最も感銘を受けた企業の1つが、Cloroxです。同社は消費財分野の確立されたブランドですが、自社チームをメディアチャネルではなく、ブランドスタジオを軸に再構築しました。同社のブランドスタジオチームは、ユーザーのインサイトを収集・拡散することに非常に注力していて、それが同社のあらゆるプラットフォームに活用されます。同社のアプリに役立てられるインサイトが、同社のTVキャンペーンにも活用されるのです。私はそれが適切なやり方だと思います。まずユーザーに焦点を当て、そこから逆算して取り組むのです。


DL:アプリのマーケティングにおいては、新規インストールと既存ユーザーの再エンゲージメントの間で、常にバランスをとらなくてはなりません。ご自身の経験から、このような難しい優先順位の判断を下すうえで、アプリパブリッシャーは何を考慮すべきとお考えですか?

JB:まず第一に、両方とも重要なものですが、それぞれの重要度は、アプリが成熟サイクルのどの段階にあるかで変わってきます。すでに述べたように、初期には顧客基盤を構築するため、ユーザーのインストール数に重点を置くべきです。ユーザー基盤が確立されたら、次は最も価値のあるユーザーと、彼らがとりがちな行動を知ることが可能になります。これを把握したら、行動の似ている新規ユーザーの獲得に優先順位を置き、また、最も価値の高いユーザー層を再エンゲージする取り組みに注力することが可能になります。すなわち、どちらか2つに1つを選ぶというのでなく、新規獲得と再エンゲージメント/リテンションは循環するサイクルなのです。

アプリが成熟するにつれて、再エンゲージメントの議論が増えてくるでしょう。長く取り組んでいると、価値あるユーザーの特徴に合致する潜在的な新規ユーザーの多くは、おそらくすでにアプローチした後なので、既存のユーザー基盤を再エンゲージすることが一層重要になるのです


 

DL:新規ユーザー獲得と再エンゲージメント、それぞれに効果的な広告戦略の違いは?

JB:GoogleのUAC(ユニバーサルアプリキャンペーン)では、機械学習が両方に効果的な戦略を発見していることから、両方に非常によく似たアプローチをとっています。例えば、Googleでは目下、基本的にエンゲージメント向けのUACとなる製品のベータ版をいくつか手がけています。当社はまだエンゲージメントの分野を強化している最中なのですが、理屈としては、新規ユーザー獲得と非常によく似たアプローチで取り組んでいます。機械学習を用いて、再エンゲージの可能性が最も高いユーザーを見つける方法、および彼らにアプローチする最善の方法を学んでいます。


DL:自社の広告戦略のパフォーマンスを評価するうえで考慮すべき、最も価値があって信頼性の高い指標を教えてください。

 

JB:誰もが見るのはインストール単価(CPI)ですね。これは基本的な評価指標ですが、本当に最も価値がある指標は顧客生涯価値(LTV)です。

市場においては、非常に性急で短期的な考え方がしばしば見受けられます。ほんの数週間分の顧客価値しか見ず、それを根拠に、最も価値のある顧客を決めようとするのです。しかし、ほとんどの顧客との関係は、それよりはるかに長く続くことは明らかです。もっと長期的な視点で考えることができれば、自社にとって本当に最も価値のあるユーザーを見極めるうえで、はるかに多くのインサイトが得られます。

急がず長期的にデータを眺めていると、顧客Aが最初の30日間に4つの低額商品を購入しているのに対し、顧客Bは最初の3カ月間に、より高額の商品をより多く購入しているのが判明したりします。長期的な視点で見ると、顧客Bのほうが価値があったわけですが、最初の数週間しか考慮しないCPI指標では、顧客Aのほうが目立って見えたでしょう。長期的な戦略を構築しようとする際に、CPIだけを取り出して見るのは間違いの元です。


DL:そのようにより大きな視点で捉えることに関して、一緒に仕事をする企業にどのようにアドバイスしますか?

JB:Googleでは、「Firebase向けGoogleアナリティクス」や「Googleアナリティクス」など、オーガニックと有料キャンペーンの全体像を把握するのに役立つ製品を提供しています。そのほか、サードパーティのアトリビューションパートナーとも協力しています。これは、特にハイブリッドな手法を採用する広告主やアプリファーストではない企業などの、より大きなニーズに対応することにつながり、企業のマーケティング活動全体に照らしたアプリプロモーションの評価や、他のすべてと比較して、それがどんな価値をもたらしているのかといったことを明らかにできます。

私たちマーケター、および業界は、アプリがもたらす価値を正しく評価することにおいて、また、そうした全体像を捉えるのに最も優れたツールや指標、プロセスを見いだすことにおいて、まだまだ道半ばにあるといえます。

DL:バトラーさん、今回は時間を割いてお話しいただきありがとうございます。これから数週間、続きを楽しみにしています

本シリーズ最後となる3回目の投稿では、バトラー氏が、アプリを口コミで広める方法、広告費を季節に合わせて最適化する方法、業界で直面する思いがけない課題について語ってくれます。

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2019 M04 23

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