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無印良品のオムニチャネル戦略におけるアプリとは

App Annie

現在、世界ではモバイル化が進んでいます。消費者のモバイルへの期待は高まり続けており、小売企業はその期待に応じなければなりません。今やデジタル化による収益増加を図る小売企業がモバイルアプリを導入し、オムニチャネル戦略の要に位置付ける流れは明らかでしょう。

現に、米国と英国では、トップの小売アプリのダウンロード数の約20%をすでにモバイルファーストの小売企業が占めています。この割合が比較的小さい日本ですが、日本を拠点とする無印良品(良品計画)のアプリMUJI Passport は、顧客体験の様々な段階にモバイルを導入して世界的に大きな成功を収めている良い例です。

無印良品は日本では既に400店舗以上、米国、フランス、英国、中国を含む国外でも340店舗を展開する歴史あるブランドです。

その良品計画が提供するMUJI Passportは、ポイントカードのように使えるアプリで、店舗へのチェックイン、製品レビュー、製品購入で、購入時に使えるポイントがもらえる他、店舗と在庫の検索機能も備えています。iOS App Storeと Google Playの両ストアで、「ショッピング」カテゴリー(日本)のダウンロードランキングで常に維持していますが、会員だと店内価格から10%OFFで買い物ができる「無印良品週間」の際には、アプリストア全体のランキングでも順位が急上昇します。

MUJI Passport Rankings Spike during Muji Week Sale

「無印良品週間」セールの期間中にランキングが上昇しているのがわかる

オンラインストアから学んだこと

もっとも、良品計画のオムニチャネル戦略はいつも順調だったわけではありません。先日、App Annieが東京で開催したDECODEで登壇した良品計画の最高マーケティング技術責任者、濱野幸介氏によると、総収益に占めるオンラインショップの割合は10%未満です。それまでもソーシャルや、スポットでのデジタルプロモーションに取り組みましたが、リアル店舗の売上に直結しなかったり、効果が続かない、あるいは特定店舗に限定されたりしていました。

濱野氏のチームが、来客を安定して向上させる方法を探ったところ、オンライン店舗の利用パターンにヒントがありました。ウェブサイトにはかなりのトラフィックがあったものの、その目的は商品をオンラインで買うだけではなく、買い物をする前の下調べや、新商品のチェック、キャンペーン情報の入手にあったのです。その結果を踏まえ、WEB事業部の役割は、ネットストアでの購買を促進するだけではなく、リアル店舗への送客と、デジタルを通じたコミュニケーションを促進する、という方向性が決まりました。

 

無印良品のアプリはいかにしてマーケティング戦略の要になったのか

2012年当時、日本のスマートフォン普及率はまだ40%未満でした。濱野氏はDECODEで、iPhoneの人気が、無印良品のアプリ製作のきっかけのひとつであったと語りました。導入コストや携帯性の点からも、アプリは濱野氏とチームの戦略に合っていたのです。

新しいアプリの目的は明確で、「実店舗への来客を増やす」というものです。立ち上げの際には、社内のいろいろな人を説得するために、マーケティング全体の戦略図を描きアプリの立ち位置を示す、クリエイティブディレクターとアプリの目的を突き詰める、等を実施。アプリのユーザー体験に関しては、実店舗のレジでアプリを使った会員情報提示をスムーズに出来るようにし、来店を促進するための情報を潜在顧客に届けたりすることに注力しました。

実際の成果はというと、アプリをリリースしてから最初の4ヶ月で2つの成功を得ることができました。2013年5月のアプリのリリースから1カ月間、アプリのダウンロードで500ポイントをプレゼントしたところ、このポイントのうち43%が実店舗での購入に利用され、濱野氏のチームが作り上げたアプリが、実店舗への集客につながることが示されたのです。

また、次の週末に利用できるカレー製品の割引をユーザーに知らせるプッシュ通知を打ったところ、クーポンの配布が土曜日の午前中で終わるほどの人気ぶりを見せました。それでも、社内でアプリが事業に役立つと認識してもらうのにはもう少し時間がかかります。

 

無印良品のボーナスポイントとその影響

アプリに対する認識が変わったきっかけを濱野氏は語りました。アプリユーザー、クレジットカード所有者、MUJIカードのユーザーなど、無印良品の会員770万人に、予告無しでボーナスポイントを配布したのです。土曜日にボーナスポイントのプッシュ通知を送信すると、日曜日の来客数が予想ををはるかに上回るものになりました。「これは大きなインパクトを与えることができました」と濱野氏は振り返りました。

この成功は続きました。「全社的に見ても2013年から2014年は増税などがあったにもかかわらず、既存店の昨年比の客数が好調に推移しました」と濱野氏は語りました(日本は2013年に、消費税を5%から8%に増税)。無印良品によると、MUJI Passportは現在、iOS App StoreとGoogle Playを合計した月間アクティブユーザー数(MAU)が200万人を超えています。結果として無印良品はチラシを完全に廃止しており、これは年間数億のコスト削減になっています。

 

無印良品の今後の成功の鍵がプラットフォームである理由

無印良品の進むべき道は顧客重視だと濱野氏は話します。複数のチャネルを通じ、一貫した不快感の無いコミュニケーションが最も重要としながら、「お客さんが無印良品というプラットフォームにどう参加してもらうか、遊んでもらうか。そのなかの一ツールとしてアプリも突き詰めていきたいと思います」と語りました。

無印良品の例からわかるように、アプリはたくさんの顧客のファーストスクリーンになりつつあります。モバイルは店舗への来客数を増やすと同時に、顧客とのコミュニケーションを成功させるツールでもあることを証明しつつあります。濱野氏が無印良品で証明したように、すでに熱烈な支持者がいるブランドであっても、成功するアプリ戦略を実施、活用することは大きなプラスにつながります。  

 

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2016 M07 12

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