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事例インタビュー:8400万人が使う「インフラ」 LINEが描くスマホアプリの未来

App Annie

それはコロナ禍の日本に、大きなインパクトを与えたできごとでした。この春、新型コロナウイルス対策で厚生労働省が、通話アプリ「LINE」ユーザーを介し、国民の健康状態の調査に乗り出したのです。日本の人口の約6割超の約8400万人以上が利用する、LINEだけができる調査でした。「国民のインフラ」とも言えるサービスに成長し、今も進化し続ける原動力は何か。LINE株式会社の舛田淳取締役CSMO(最高戦略・マーケティング責任者)にお話をお伺いしました。

それはコロナ禍の日本に、大きなインパクトを与えたできごとでした。この春、新型コロナウイルス対策で厚生労働省が、通話アプリ「LINE」ユーザーを介し、国民の健康状態の調査に乗り出したのです。日本の人口の約6割超の約8400万人以上が利用する、LINEだけができる調査でした。「国民のインフラ」とも言えるサービスに成長し、今も進化し続ける原動力は何か。LINE株式会社の舛田淳取締役CSMO(最高戦略・マーケティング責任者)にお話をお伺いしました。(敬称略)

スマホの拡大で選択権を持つ層が変わった

ーーTop Publisher Award 2020 のご受賞おめでとうございます。

 

舛田:当社は設立以来、スマホアプリとともに歩んできました。スマホが広がって10年がたち、瞬間的に現れ消えていくアプリと、継続するアプリが出てきています。LINEが継続できているから毎年アワードをいただけていると思っています。受賞は光栄で、現場の企画開発や運営の担当者が報われます。

 

ーー通話アプリLINEだけではなく、音楽や漫画が消費者に受け入れられ、成長しています。日本のモバイル課金マーケットは約1兆3000億円です。このうちゲームが9割、音楽や漫画など「非ゲーム」が1割ですが、近年確実に非ゲームの割合が増えています。「LINE MUSIC」や「LINEマンガ」が成長した背景は何でしょう。

 

舛田:新しいデバイスやプラットフォームができると、ゲームから成長することが多いです。成熟するとノンゲームが求められるようになる。当初、LINEも売り上げの大半がゲームでした。社内で「ゲームに特化しては」という議論もありましたが、当社はゲーム会社ではない。あくまでもプラットフォーマーだから、ゲーム以外にも生活に根付いたサービスを提供しようという結論を出しました。

日常的なものであるほどサブスクリプションモデルが機能していて、LINE MUSICはMAU(1カ月当たりのアクティブユーザー数)が1300万人です。マンガも同じで、しばらくマンガから遠ざかっていた人がLINEマンガで読み始めてくれています。

 

ーー最初のハードルを下げて裾野を広げることはコンセプトとして抱いていたのでしょうか。

 

舛田:はい、すべてのサービスがこのコンセプトから始まります。多くの人がスマホに長時間触れていて、これはもう「消費者革命」とも言える。PCはわれわれのような世代のある種のgeek(オタク)ともいえる人たちがルールを決めてきた。しかしスマホのすごいところは全ての人が使いこなせることです。選択権を持つ層が変わってきたとも言えます。

 

「面白いものが受ける」ことは不変 海外勢に負けない意地

ーー2018年、19年のApp Annieのデータを見ると、海外企業が開発したサービスが勢いを増しています。海外勢が日本の市場を取り始めている中で、貴社が成長できている背景は何でしょうか。

 

舛田:意地ですね。日本、台湾、タイなどLINEのメインカントリーではユーザーのニーズだけではなく、その国の社会の空気を感じてサービスを改善しています。よく言われますが「LINEは国民インフラだ」と。国内で8400万人が使うサービスだという自負があります。コロナ禍で厚労省に協力して全国一斉調査を行いましたが、自社の利益だけを考えればやらなくてもいい。でもあれだけ大規模な調査ができるのはLINEだけでした。

海外発のゲームはここ2、3年で大きく変わりました。これまでカントリーバリアがかかっていましたが、参入障壁が低くなっているし、ユーザーの反応が早い。「荒野行動」(中国企業が開発したバトルロイヤルゲーム)が流行し始めた時の中高生の反応の速さはすごかった。提供の仕方などルールは変化しているかもしれませんが「面白いものが受ける」ということは不変なので、突き詰めなければならないと思っています。

 

ーー意地や愚直さはビジネスの本質ですが、いざ実践するとなると難しい面もあります。具体的には戦略的に事業を進める人材が必要なのか、潤沢な資金、エンジニアのリソースが必要なのか何が大切ですか。

 

舛田:それだと強いリーダーがいて潤沢な資金があるところは必ず成功しなければならなくなってしまいます。私は一番の価値をどこに置くかだと思っています。もっと言うと「誰に対して価値を提供しようとしているのか」ということです。当社で言えば、ユーザーのニーズから全てが始まる。ユーザーからはポジティブ、ネガティブ両方のものすごい数の反応があります。その意見を聞かずに進めることもできますが、8400万人以上に使っていただいているからこそ愚直にやらなければなりません。

データは成功の確率を上げる 最後は「LINEらしいか」が軸に

 

ーーそのようなカルチャーをどう根付かせたのですか。

 

舛田:言い続けているからではないでしょうか。当然、企業活動なので売り上げや利益も追いますが、それだけではサステイナブルな成長は望めません。収益性を重視したプランが出てくる時もあります。でも議論していって最終的には「LINEらしいか」が軸になります。

メールや電話が過去のものになり、LINEがコミュニケーションのデフォルトになったように、ヘルスケアや金融、音楽などの分野でも同じ現象が起こるのか、これは壮大な社会実験だと思っています。

 

ーーこれからモバイルに参入しようという個人や企業が一歩目としてやるべきことがあればぜひアドバイスをお願いします。

 

舛田:インターネット業界の特権だと思いますが、スモールスタートすることでしょうか。枠を決めすぎるとよくないと思っていて、KPIもフェーズごとに変えたほうがいい。あとはとことんこねくり回すことです。例えばライトユーザーを動かすために、その前に動かすべきユーザー層は何か、とか。ライトユーザーが使っているアプリは何で、どんな数字が出ているかといったことです。水面に小石を投げてできる波紋の動き方でアジャストするイメージです。

ただし、OMO(オンラインとオフラインの融合)の話になると、丁寧に時間をかける必要があるので、スモールチームでのアジャイル開発はやりにくくなります。ただし、うまく回ればよりユーザーがアプリに触れる時間が長くなるので、グローバルプレイヤーが入ってきにくくなります。

 

ーーオフラインアセットを持っている会社は商機になるということですね。データの使い方についてお伺いします。当社はサードパーティデータ(プラットフォーマーなどが収集し、セグメント化したデータ)を提供し、お客様には同業他社だけが競合ではないとお伝えしています。ファーストパーティデータ(事業者自ら収集したデータ)を使ったマーケティングは大事ですが、例えばウーバーイーツの勢いが増す中で、外食産業にはPOSデータしか残らない。当社の考えとして日本にデータをきちんと残そうという思いがあります。ファーストパーティーデータを取得し、次のビジネスを考える上でデータの重要性をどう認識していますか。

 

舛田:データは「答え合わせ」だと思っています。データは成功の確率を上げるものです。データがないと答え合わせができない状態で進み、最終的な答えが売り上げになってしまいます。売り上げを追うには道筋があるはずで、データを用いて地図化ができていなければなりません。アプリを使ってもらうことは本当に難しいことですが、データを共有することで、プロトコルが合います。

 

ーー最後に現場の担当者の方にメッセージをお願いします。

 

舛田:毎年、Top Publisher Award で表彰されることはメンバーの絶え間ない努力に尽きます。ユーザーと向き合い、ユーザーの皆さんに評価していただいた結果です。これがメンバーにとっては最大の賛辞だと思っています。

 

App Annie は、あらゆる業界で日々表面化している消費者行動の変化についてデータからのインサイトを提供し、貴社のモバイルビジネスの改善をご支援します。こちらからご相談ください。

また、無料製品でも一部のデータをご利用いただけます。無料でご登録可能です。

 

 

 

2020 M07 6

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