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「Mobile Leaders Summit」フィンテック、モビリティ、製造、製薬、コマースセッション振り返りレポート

App Annie

金融、フィンテック、モビリティ、製造、製薬の各業界のトップリーダーがモバイル最新事情をお話しいただいたオンラインカンファレンス「Mobile Leaders Summit」の各セッションレポートをお届けします。

今回のカンファレンスは、『ニューノーマル時代を生き抜くための「新」モバイル戦略』をテーマに、モバイルに取り組まれている企業様やモバイルにこれから注力したいと考えている企業様に向け、業界の有識者の方々からモバイルに関連する事業の紹介、課題解決のためのヒントを発信いただきました。本レポートは、金融、フィンテック、モビリティ、製造、製薬各業界のトップリーダーの方をお招きしたパネルディスカッションの内容をお届けします。
(本イベントに関する情報は、2020年11月11日(木)時点のものです。)

  • フィンテックセッション:ニューノーマル時代のフィンテック最新動向

未来のマネーシステムをどう作るかーー。このセッションではデジタル通貨発行の可能性や、金融分野でデジタルデータの活用について日本銀行の副島氏とZフィナンシャルの清水氏が意見を交わします。
 
モデレーターの林氏は中国のアリババ集団傘下の金融会社、アント・グループとZフィナンシャルがグループとして似ていると述べ、ベンチマークする上で日本特有の課題は何か、と尋ねます。清水氏は「アントは1兆円の売り上げのうち、貸し出しによる利益が6000億円以上あります。だが日本ではお金を借りるということに対して、罪悪感を持つ人が多い。金融事業で稼ぐ柱となる貸し出し事業をいかに伸ばすかが重要になる」と答えます。

副島氏はカンボジアやバハマなど新興国で相次いで発行されたデジタル通貨について、各国での意義を解説します。また、日本における中央銀行デジタル通貨(CBDC)について、三つの取り組み方針の定義を紹介し、わかりやすく説明します。

 

  • フィンテックセッション:ユーザー体験を意識した次世代のフィンテックサービス

消費増税を受けた消費促進策やコロナ禍でキャッシュレス決済が大きく広がりました。オンライン上で銀行口座と紐づけてお金の出入金を管理できる、オンライン家計簿サービスも増えています。このセッションでは「PayPay」の事業開発に携わる柳瀬氏、この秋に家計簿アプリを発表したばかりの三菱UFJフィナンシャルグループの戸枝氏が、ユーザー目線のサービスをどう作り上げるかについて語ります。

柳瀬氏はPayPayをリリースした当初、どのようにしてユーザーと、導入店舗を増やしたか戦略を紹介します。戸枝氏は9月に発表した、家計簿アプリ「Mable」(メイブル)について、後発組として他社サービスとどのような違いを出すかについて説明。「ユーザーのニーズを見極める作業を繰り返し、次々にバージョンアップできるサービスにしたい」と語ります。「未来の個人の暮らしがどう変わっていくかを考える、『想像力コンテスト』の時代に入っている」と話すモデレーターの副島氏の言葉が印象に残ります。

  • モビリティセッション:次世代へのモビリティへの取り組み

コロナ禍で人の移動が制限され、公共交通機関の利用頻度が大きく減りました。交通事業者はアフターコロナを見据え、次世代のモビリティ開発を進めています。JR東日本とJR西日本でICTを使い、マイカー以外の移動をシームレスにつなぐMaaS(マース、Mobility as a Service)を担当する伊藤氏と神田氏が、取り組みを語ります。

JR西日本の神田氏は、瀬戸内エリアを観光する人に向けた観光型MaaS「setowa」を紹介します。これは、観光に必要なタクシーや、鉄道、レンタカーなどと連携し、旅の計画段階から現地での移動までサポートするサービスです。setowaのサービスは地方型のMaaSで、今後他のエリアでも活用できるモデルケースといえそうです。神田氏は「いずれくるだろうと想定した未来がコロナ禍で突然やってきた。MaaS関連の事業は、あと1、2年ほど実証実験を行う予定だったが、前倒しで実行した」と語ります。

一方、JR東日本は今年、2次交通を使いやすくするスマートフォンアプリ「リンゴパス」の実証実験を開始しました。タクシーやシェアリング自転車の位置情報の確認や決済ができ、駅から目的地までのラストワンマイルの移動を便利にします。伊藤氏は「Suicaを軸にMaaSでつなげる流れは加速していく」と話します。新しいサービスが始まることで、私たちの生活が大きく変わっていきます。

 

 

  • 製造セッション:「モバイルファースト」 時代におけるIoTと新規事業

製造業が新規事業としてモバイルに参入する動きが出てきています。日本の大手自動車部品メーカーのアイシン・エイ・ダブリュ株式会社の鈴木副社長と、メーカーから「データ企業」へと事業シフトを仕掛けるパイオニア株式会社の石戸氏が今後の事業戦略について語ります。スマートフォンを活用したデジタル支援を行う株式会社アイリッジの伊藤氏が、モデレーターを務めます。

鈴木副社長は「テクノロジーを追求することよりも、まずは人が何に困っているのかなど社会課題を解決するという視点を大事にしたい」と語ります。同社は共働き世帯向けに、子どもの居場所や習い事を支援する送迎サービスの実証実験を始めています。

カーナビなど車載機器大手のパイオニアは、長年蓄積してきた走行履歴や道路情報などビッグデータ活用のノウハウを持つ強みを生かし、通信機能を持つドライブレコーダーを発売したばかり。新しいドライブレコーダーは地図データを活用した運転支援システムを搭載しています。

鈴木氏と石戸氏は「DX、AIなどのバズワードを使わないように気を付けている」と強調します。耳障りのいい単語を使うことで、なんとなくわかった気になり、問題の本質を見出せない可能性があるからです。日本の経済を支えてきた製造業に携わる両氏の発言が印象に残るセッションです。

 

  • 製薬セッション:デジタルヘルスの実現に向け、モバイルが担う未来

新型コロナウイルスの感染拡大で、オンライン診療が時限的に全面解禁されました。菅義偉政権は、改革の柱の一つとしてオンライン診療の恒久化を掲げ、厚生労働省で議論が始まりました。ヘルスケア業界は、オンラインでの健康管理やトレーニングといったアプリの開発も進めています。

本セッションでは、最先端の技術を活用して新しいヘルスケアの事業を創成する「Rx+(アールエックスプラス)事業創成部」を発足させたアステラス製薬株式会社より光岡氏を、スマートフォンを活用した最新の健康管理を推進している「Omron Connect」を運営するオムロンヘルスケア株式会社より寺尾氏を招き、モバイルを活用したヘルスケアの可能性について語ります。

光岡氏は、新薬企業特化型企業が取り組むRx+事業の紹介と、AIを活用した海外の先進事例として英国のスタートアップが進める遠隔診療サービスを挙げます。国の保険が適用され、医療コストの削減や、待ち時間の解消などの課題解決につながります。寺尾氏も米国の遠隔医療サービス大手が同業の会社を約2兆円で買収した事例を挙げ、コロナ禍で遠隔診療の利用が急速に広がる中、企業が規模を拡大するケースが増えてきていると指摘します。セッションでは2氏が注目する日本のヘルスケア領域についても語ります。

2020 M11 24

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