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ウェブセミナー「iOS 14 に備える次世代のアプリマーケティングと広告マネタイズ」レポートVol.1

App Annie

ウェブセミナー「iOS 14 に備える次世代のアプリマーケティングと広告マネタイズ」にて大手ゲームパブリッシャー様をお招きしたパネルディスカッションのレポートをお届けします。

8月20日(木)、「iOS 14 に備える次世代のアプリマーケティングと広告マネタイズ」と題したウェブセミナーを開催しました。
広告識別子「IDFA」が変更されることが時期に予定されており、個人情報保護の観点から、アプリパブリッシャーはIDFAの情報を収集する前にユーザーにメンションを表示し、許可を得ることが必要になります。これまでIDFAを使って広告のターゲット測定や効果を測ってきたアプリパブリッシャーや広告主は大きな影響があることが予測されます。
今後の対策や展望についてのウェビナーの様子を1部と2部に分けてレポートをお届けします。
(本セミナーに関する情報は、2020年8月20日(木)時点のものです。)

 

第1部では、株式会社MOTTO 代表取締役 佐藤基氏にモデレーター、株式会社ブシロード 広告宣伝部副部長 森下明氏、株式会社カヤック プロデューサー 畑佐雄大氏をパネリストにお招きし、パネルディスカッションを行いました。

司会:第一部に関連して、ゲーム市場のトレンドをご紹介いたします。コロナ禍による巣ごもり需要で、3月から大きくダウンロード数、収益ともに増え、追い風になっています。
しかし、ダウンロード数の内訳をみると、海外パブリッシャーが増えていき
ているということも事実です。それではこれからディスカッションに入りたいと思います。佐藤さん、よろしくお願いいたします。

 

佐藤基氏(以下 佐藤):第1部「トッププレイヤーによるiOS14時代のゲーム・アプリマーケティングの未来予想と対策」と題したディスカッションに入りたいと思います。森下さん、自己紹介をお願いします。

森下明氏(以下 森下):モバイルゲームの特にデジタルマーケティングを統括しています。
ミッドコアのアプリプロモーションにおける影響をお話できればと思います。

佐藤:森下さんは今回のOSアップデートが発表になった時から、ご自身のnoteで情報発信をされていて、ゲーム業界での理解が深まったと思っています。
続いて畑佐さん、自己紹介をお願いします。

畑佐雄大氏(以下 畑佐):ハイパーカジュアルゲームチームのプロデューサーとしてマネジメントをしています。本日はハイパーカジュアルゲームの観点からお話します。

佐藤:本日のモデレーターをさせていただく佐藤です。普段はスマホゲームのマーケティングを外部の立場からお手伝いしています。
アプリゲームビジネスは、ミッドコア型とハイパーカジュアル型の2つが大きなシェアを占めています。
ミッドコア型はアプリ内のユーザーの課金で収益を上げるビジネスモデルで、ハイパーカジュアル型はアプリ内の広告売上が中心の、全く違うビジネスモデルと言えます。

 

伺いたいアジェンダは3点で「iOS14以降、ゲームビジネスにどのような影響、変化があるのか」「この変化や影響に対し、どのような対策をするか」「ゲームビジネスへのチャンスはどのような点か」です。
まず、今回のOSアップデートをどう捉えていますか?

森下:マーケターの力量によって、グロースできるかどうかが大きく左右されると思います。企業が抱えているマーケターがROAS(広告単体の費用対効果)やCPI(インストールあたりの広告コスト)といったKPIを追い続けるならネガティブに働くでしょうし、一方でPL(損益計算書)やROE(投資対効果)といった会計ベースの視点にたてるのであれば、ポジティブに働くと思います。

佐藤:森下さんはミッドコア型の視点からお話いただいています。ハイパーカジュアル型の畑佐さんの視点はどうでしょうか?

畑佐:ユーザーにとっては個人情報保護の観点から良い変更です。ただ、ハイパーカジュアル型ゲームの観点からは、広告収益が下がるのではないかという懸念があります。一方で、各社の工夫のしがいがでてくると言えます。

 

佐藤 一番なネガティブな影響があるのはどんな点でしょうか?

森下:個人情報保護の観点から、基本的にはIDFAを広告主や媒体社等に取得させない方向で動いていると思います。ただATTという逃げ道を残しました。
しかし、基本方針はIDFAを取るなということで、逆行は避けたほうがいいと思います。

この前提に立つと、広告主と媒体双方でオプトインしたユーザーは計測できる。一方でオプトアウトしたユーザーはコンバージョン欠損が起きてくる。
となると、デジタルプロモーション担当が追うROASのデータ自体の信ぴょう性がなくなってきます(※MMPのトラッキング技術向上やAppleの今後のアップデート方針変更でカバーできる可能性有り)。
また、ラストクリックですべてのコンバージョン計測されるようになるため、MMPのアトリビューションウィンドウのコントロールが実質できなくなるのでその評価をどうするかといった問題が出てきます。総じて、今までの広告に関する投資対効果の指標が全く使えなくなる前提(ワーストケース)でマーケターは自社の広告効果の評価方法を再考したほうが良いと思います。

 

佐藤:ミッドコア型はもともとデジタル広告寄りではないところもあり、トータルでしっかり見ていくということですね。
一方、畑佐さんに伺いたいのですが、ハイパーカジュアル型はかなりデジタルに寄っています。集客面にどう影響があるでしょうか?

畑佐:ターゲティングの精度は確実に落ちると思います。インストールの精度が落ちてくるので、獲得効率が下がるのがネガティブ要素としてはありそうです。

 

佐藤:ハイパーカジュアル型はかなりデジタル広告の依存度が高いと聞いています。メディア型のビジネスをされている方はすごい注目していると思います。
次にどのような対策をとるかお伺いします。

精度は多少下がるかもしれませんがフィンガープリントなどを使うとか、アップルのシステムのSKAなど使えるものもあると思っています。
インストールトラッキング悪影響度合いというのは森下さんの中でどれぐらいでしょうか。

森下:とあるMMPではフィンガープリントを使うことによって95%のコンバージョンをトラックできる、という話もあります。95%の精度で本当にトラッキングできるのなら実務上、私は問題ないと思います。。よって、この問題は杞憂だったということもあり得るのでは。

畑佐:基本的にオプトインのウインドウは出すと思います。欧州の会社さんなどもいろいろな工夫をしてくると思うので、ある程度同様にする予定です。ハイパーカジュアルは実はものすごく緻密に広告分析しているように見えてそうではなかったりします。

 

佐藤:ROAS、ROI、広告回収がトラッキング以上に影響が大きいのではないかとの指摘もあります。本当に広告がとれなくなってしまうのでしょうか?

森下:MMP次第ですよね。引き続きコンバージョン欠損がないようにできるのだったらそれがポジティブなシナリオですよね。
ROASやCPIなど指標を追えないぐらい影響が出るのなら、見る指標自体を変えるしかない。PLベースで儲かっているのかそうでないのか議論するとかです。
恐らく、iOS14の変更がかかるとタイミングで、MMP側の機械学習の精度が一時的に落ちるはずでアドフラウドをはじく精度が落ちることが考えられます。
なのでiOS14に移行したらフラウドがおこりそうな媒体は一度止めたほうがいいと思います。
また、最も大事なことはIDFAが取れないからといって、そこから顧客がいなくなるわけじゃないということです。
例えば、iOS14に移行したからTwitterのDAUが落ちることはない。ただ、配信精度や見かけ上のCPIやROASは悪くなるかもしれないです。しかし、それは事業において大した問題ではなく、広告効果がトラッキングできず自然流入に流れただけかもしれません。
ですので、今までの広告の評価制度を破壊して、どうすれば事業に貢献できるかを考えればいいのではと思います。その回答が今の所、PLベースでの判断であったり推計による広告効果の測定だと考えております。

佐藤:ミッドコア型はお客様と長期的な関係を築くことが前提となっています。
一方で畑佐さん、ハイパーカジュアル型のほうがお客様との関係期間が短いですよね。よりトラックの重要性が高い。ハイパーの場合は、どのぐらいの広告収益になっていることが重要になってくると思うのですが、影響や対策はいかがですか?

畑佐:会社によって立ち位置が違う部分はありますが。大手はマーケターを張って、サイトID単位でROASを測っているところもあります。
一方、ぼくらはもともとゲームをつくる会社ですので、国別で1人あたりのLTVこれぐらい、CPIこれで回そうと、そうすればPLベースで収益でるので、少なくとも赤字にはらならないよね、というレベルで運用していて、それでもビジネスが成り立っています。この差がなくなってくるのかなと。
細かく専門知識をもってやっていなかったことが、むしろよかったのかなと捉えています。

佐藤:ユーザーの満足度が高いゲームをつくれば十分に戦っていけるということですね。

畑佐:いいゲームつくるということに集約されますね。低単価で顧客を獲得できるというその指標を追い続けることは変わらないと思っています。

 

佐藤:とはいえCPIの獲得があがってしまう可能性がある。
ROASでまわしていくので収益性が大きく変わるということもあり得る。畑佐さんとしてはどういう舵を切るか想定していますか?

畑佐:今、すべての国を入れた収益はざっくりiOSとアンドロイドと半々ぐらいです。もちろん、売上のトップが下がる可能性はあるかなと。獲得側もCPIが変動の媒体の場合は上がる可能性はある。一方でCPIを固定でおいておくという媒体が多いので、そうなってくるとマネタイズのCPMが下がることによって獲得す側もスケールするCPMの値が変わってくると思う。つられて結果両方さがって利益額は減るかもしれませんが利益率はかわらないという可能性はあるかなと思っています。


佐藤:畑佐さんはiOSとAndroidで方針かえることがあるとおっしゃっていましたが、森下さんはどう思いますか?

森下:日本のスマホ保有者の確か60%弱くらいがiPhoneユーザーですよね。ブシロードのタイトルは日本に対しての配信のメインです。
ですので、iOS14アップデート以降、見かけ上の広告効果を追って、無理やりAndroidに予算を張るというのは顧客を見ていない行為なのでやる予定はございません。
また、当社データですとiPhoneユーザーとAndroidユーザーでLTVに差も出ます。また、媒体によっては極端にiOSの在庫が多い媒体もあるため、一概にOS別での方針を打ち出すことは難しいと考えます。

 

佐藤:一方でチャンスと呼べる部分もあるのではないでしょうか?

森下:ようやくモバイルマーケターの時代がくるのではと思います。マーケターの判断で事業のグロースができるできないの優劣がつくのではと思っています。顧客はiOS14アップデート以降後も変わらずそこにいて、計測がしにくい環境になるだけです。いままで追っていた指標自体を改めて、こうすべきだとステークホルダーに説明できないマーケターは消える。もっとメタな経営視点で話ができるマーケターがいる企業は伸びると思います。


佐藤:最近このテーマで話すことが多くて、ROASに縛られているマーケターも多く、解放される可能性があるということですね。

森下:よく直面するたとえ話ですが、ミッドコアゲームのアプリがリリースしされて、2周年すぎてLTVも経年劣化してきて、獲得CPIが高騰してきたケースがあるとします。90日ネットLTVで回収できないので180日に回収期間を伸ばそうとするケースが散見されます。
僕からしたら意味不明で、それをやるなら未来に実装するゲーム内のアップデートによるユーザーのLTV向上施策とセットにして実施しないといけません。
なぜならば、そのようなアップデートが無い場合、そのアプリは90日NETLTVでの回収が既に困難であるからです。
また、その前段の”なぜ、90日で回収しなければならないのか”という回収基準の設定を盲目的にやられている企業も多く存在します。本来は自社のCFの余裕、ステークホルダーから求められる利益率、当該事業でいつまでにどの程度の売上営業利益を達成したいかから逆算した回収基準の設定等、複数の判断基準を加味してきめるべきです。
また、当社のようにIPビジネスを行っていれば単なるソシャゲの収支計画だけでなく、他IPビジネスでのマネタイズも加味してPLを作るので、ソシャゲ単体のPLに固執する必要もなくなります。このような様々な変数を考慮して、本来は回収基準が決められます。
それをすべて無視して、冒頭に申し上げた「90日ネットLTVで回収できないので180日に回収期間を伸ばそう」という判断は未来の売上営業利益を先食いする愚行です。とるべきアクションが真逆なんです。
本来マーケターの腕の見せ所はゲームのLTVを上げること(UI、UXのリプラン)と併走して、現在当社の顧客になっていない方に当社の魅力を発信し、回収できる範囲で顧客を獲得することです。そのために工夫できるクリエイティブ、ターゲティング、ビッディングを最適化しましょう。
それができないなら回収期間を60日→30日と減らすのが普通なんです。
ROASを自分の都合のいいように使ってしまう人が多すぎると思っていて、一度そこから離れて本質的に顧客と向き合うべきだと思いますし、そのようなマーケターがいる企業は今後、勝っていくのでは無いでしょうか。

畑佐:よりゲームの中身にフォーカスされると思っています。いいゲームかどうか。僕も全く広告詳しくなかったですが、ハイパーカジュアルゲームへの参入ができました。むしろこれからはじめる会社や個人にチャンスです。広告ビジネスわからないから敬遠している人の参入障壁がなくなっていくでしょうね。


佐藤:最後に参加者の方へのメッセージをお願いします。

森下:日本のマーケターが注目されるチャンスだと思います。顧客と向き合い、テクノロジーをキャッチアップしたり、人を説得できる能力に磨きをかけることを通じて、売上営業利益に貢献できるよう頑張りましょう。

畑佐:ハイパーカジュアルでいうと、日本の会社は十分に世界でやれると思っています。
そういう時にiOS14の話があり、出鼻をくじかれたという事業者さんもいるかもしれませんが今お話したように十分にやれるし、参入しやすくなるかなと思っています。

 

ウェブセミナーの詳細はオンデマンド動画からご視聴いただけます。

 

2020 M09 15

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