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2021年のニューノーマル: モバイルで知っておくべきトレンド5選

Lexi Sydow

新型コロナにより世界的なパンデミックに見舞われた年の瀬に向かういま、2021年のモバイルの新常識(ニューノーマル)はどう予測され、今後、どのようなモバイルビジネスのトレンドが見られるかを探ります。

2020年は、日常生活の見直し、そしてこれまでのあり方を再定義をするべき時でした。緊急事態宣言、リモートワーク、ソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保、移動の制限、オンラインへの移行がニューノーマルとなり、各国が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を封じ込めようと取り組んできました。在宅時間が長くなり、家に居ながら人とのつながりを求め、娯楽を楽しみ、情報を得るためにさらにモバイルを使うようになってきています。間もなく迎える2021年、前例を見ない不確実な時代に向けたモバイル戦略を構築するために、知っておくべき5つの重要なトレンドをまとめました。

1. 2021年、TikTokの平均月間アクティブユーザー数は12億突破見込み

TikTok は世界でユーザー基盤を拡大したことで、2020年にアクティブユーザー数が急増し、対2018年比で3倍近くになりました。2021年には、TikTokが羨望の月間アクティブユーザー数(MAU)10億超えにとどまらず、12億まで一気に駆け上がると予測しています。

MAU10億超えのサービスはほかに、FacebookWhatsAppWeChatといった人気のソーシャルアプリも名を連ねます。2020年第3四半期に、TikTok非ゲームアプリの消費支出ランキングで2にランクインしており、ユーザー基盤の広さとエンゲージメント高さを物語っています。よく利用されているソーシャルメディアアプリの多くは、主に広告収入で収益化しているため、消費支出のランキング上位には入っていません。TikTokは広告で収益化していますが、アプリ内課金でも収益をあげており、ユーザーは配信者(ストリーマー)にチップを渡す際に使用するバーチャルギフトを購入できます。ユーザーはチップを渡すことで目立つことができ、応援するストリーマーから感謝されるチャンスを高められるので、ポジティブなフィードバックループが生まれ、コンテンツ制作と支出がさらに促されます。TikTokが成功した一因は、ユーザー生成コンテンツ(UGC)、短いループ動画、強力な動画編集ツールの組み合わせによるものです。モバイルビジネスには、アプリ内で積極的にお金を使う世界規模のユーザー層にエンゲージできるという強力な機会があり、TikTokはそのよい例です。

事業の未来を見据えるにあたり、モバイルデータが以前にもまして重要になります。そうすることで、TikTokのような急成長する市場のプレーヤーや、消費者行動の変化に備えることができます。

2. ニューノーマル時代、自宅での消費時間は増え、モバイルが在宅中の活動の43%増をけん引

新型コロナウイルスの流行期間中、ウイルスの拡散を抑え感染を減らすために、各国で緊急事態宣言、ロックダウン、ソーシャルデディスタンスといった政策が実施されました。外出を控えて自宅に留まる時間が増え、モバイルが外の世界につながるタッチポイントになりました2021年も在宅での時間が主流になると見込まれ、そうした中でモバイルが生活の中で担う役割も増しています。在宅時間によく使われるアプリの主要なカテゴリーの利用時間は、2021年にはAndroidフォンだけで1.3兆時間を超えると予測されています。 

ビジネスアプリと教育アプリは、ZOOM Cloud Meetingsのようなコラボレーション、ビデオ会議アプリの継続的な成長に後押しされ、2021年には4年間の年平均成長率(CAGR)がそれぞれ57%62%に達すると予測されています。Zoomはその目覚ましい成長により、ビデオ会議の代名詞になるほどに認知度を高めました。Zoomはさらに、新たなOnZoomプラットフォームを立ち上げて仮想体験(VR)の分野に進出する予定です。 

家に居ながらにして買い物ができるモバイルコマースは、ショッピング体験の中心となり、アプリでの生活習慣を定着させるでしょう。そうしたトレンドに拍車をかけるのが、食料・雑貨のデリバリーや革新的な非接触型の商品受け取りといったオプションです。米国では2020年の年末商戦期、モバイルショッピングの新記録が10億時間にもなる見込み(Andoirdデバイス)です。こうした追い風により、ショッピングアプリの利用時間は2021年に大きく伸び、4年間のCAGR40%に達すると予想されます。レストランと自宅での食事のギャップを埋めるため、DoorDashUber Eatsのようなフードデリバリーアプリに引き続き頼ることになるでしょう。観光業や接客業が外出自粛で深刻な打撃を受けていることから、フードデリバリーアプリはレストラン戦略の要になると予想されます。 

新型コロナウイルス感染拡大の第1波では、先の見えない経済情勢がファイナンスアプリの普及を後押ししました。消費者が最も信頼できるデバイスを使ってP2Pの決済、バンキング、投資を行うようになるなか、Barclays Mobile Bankingのような銀行系アプリやPayPayのようなフィンテックアプリは、2021年も引き続き利用が促進されると予測しています。2021年には、世界のAndroidフォンにインストールされたバンキングアプリの総利用時間が年間310億時間を超え、4年間のCAGR(年平均成長率)35%になる見込みです。 

また、在宅向けフィットネスアプリの需要が急増し、モバイルに注力するPelotonのような企業は売上を飛躍的に伸ばしました。2020年第2四半期、Peloton四半期収益は前年同期比172%増となり1株あたり利益(EPS)は予想のほぼ3倍に達しました。企業が長期化的な在宅ワーク戦略を採用し、日常へ生活に戻れるようワクチンの開発を待っている状況で、ホームフィットネスは2021年を通じて成長を続けると予測します。Pelotonでライブ配信される教室はまた、動画ストリーミング市場のトレンドにも通じています。動画ストリーミングアプリは、2021年にAndroidフォンだけで利用時間が1兆時間を超え、以前にもまして大きな役割を担うことが見込まれます。モバイルデバイスでのストリーミング利用時間が過去最高を記録するなか、Disneyはストリーミングに主眼を置いた新たな戦略を強化する再編成を発表しましたが、これを他の企業も追随することが予想されます。

日常生活への復帰の道のりは、過去に見られたようなものとは異なるでしょう。企業が2021年とその先の数年間を迷わずに進む上で必要なのは、モバイル業界の現状を明確に把握し、信頼できる情報に基づく分析とインサイトによって競争で優位性を保つことです。 

 

3. 2021年、モバイルゲーム消費支出は1200億ドル超へ

モバイルゲームは2020年に記録的なダウンロード数を達成しました2020年第2~第3四半期にピークを迎えた緊急事態宣言、ロックダウンから勢いを増し、全世界のゲームの週平均ダウンロード数は前年比15%増でしたカジュアルゲームとコアゲーム双方の需要が高まるなか、モバイルゲームへの消費支出は2021年に1200億ドルを超え、新たな高みに到達すると予測されます。 

この2年間で、ハイパーカジュアルゲームとハードコアゲームというゲームジャンルが普及してきました2021年は、こうしたハイブリッドなモバイルゲームジャンルが確立される年になると予測します。理由として、ゲーマーの知識が深まっていること、スマートフォンの性能が向上していること、これまで家庭用ゲーム機やPCでしか提供されていなかった高度な体験を提供できるようになったことが挙げられます。ハイパーカジュアルゲームのジャンルは需要が急増しています。2020年上半期、ハイパーカジュアルゲームの全世界ダウンロード件数は50億でした。ハイパーカジュアルゲームは今後、ミッドコア要素を採用して、成長を維持すると予想されます。Hunter Assassinは、ステルスベースのアクション要素と戦略パズルを解く仕組みをミックスしたゲームで、2020年のハイパーカジュアルゲーム年間ダウンロード数ランキングで首位でした(1025日時点)。また、複数の仕組みを融合させて進化し、より深いエンゲージメントを生み出すハイパーカジュアルゲームが増えると予測しています。ハイパーカジュアルゲームは多くのパブリッシャーにとってユーザー獲得の大きなファネルとなってきましたが、今後は一部のゲームが深さとエンゲージメントの構築に焦点を移すと予想されます。 

また、「カジュアル化」が進むマルチプレイヤーゲームにおいても、こうしたハイブリッド化が見られました。Among Us! は、より深い「コア」なマルチプレイヤーのゲームプレイを活用しながら、カジュアルなオーディエンスを獲得してきました。実際、アレクサンドリア・オカシオ・コルテス米下院議員は、投票を促す革新的なマーケティングキャンペーンとして、Twitch上でAmong Us!をプレイしている様子をライブストリーミング配信しTwitchストリームの中で過去最大級の視聴回数を達成しました。このことは、特にZ世代の消費者へのリーチとエンゲージメントの最大化を目指す場合に、企業が検討すべきモバイルマーケティングの新たな領域を示しています。 

家族や友人とのつながりを求める手段として、ソーシャルゲームやマルチプレイヤーゲームには2021年も引き続き高い需要があると予想しています。デバイスのスペックやユーザーインターフェースといった条件から、モバイルはコアゲームを本質的に一層「カジュアル」なものにしてきました。とはいえ、スマートフォンは、「コアな」ゲーム体験を提供し、クロスプラットフォームでのプレイを実現するのに十分な性能を持っています。5Gが遅延とタイムラグを軽減することで、ゲーム、とりわけコアゲームに最初のインパクトをもたらすでしょう。コアゲームは、モバイルゲームにおける消費支出全体の最大の牽引力であり、2021年には成長の鍵を握るジャンルになるでしょう。 

モバイルゲームは世界で最も普及しているゲームの形態であり、市場規模は他のゲームプラットフォームすべての合計に対して1.5倍になります。モバイルゲームの複雑さとニュアンスを理解することは、この業界最先端の分野で成功するために極めて重要です。App Annie のGame IQは、ゲームアプリ戦略のレベルアップに役立つ総合的な分類を提供します。 

 

4. 2021年、モバイル広告支出は2900億ドルに到達、広告業界の成長をリード

ユーザー1人あたりの1日平均利用時間は、パンデミック中に過去最高の4時間20分を記録 。これは2019年から20%の増加でした。これは平均的なユーザーの1日の活動時間(睡眠以外の時間)の25%超に相当します。この勢いは2020年第3四半期も続き、全世界でのアプリ利用時間合計は前年比25%でした。以前よりモバイルに触れる時間が長くなっている人が増えるなか、広告業界にとって「金は目に従う(money follows the eyeballs)」という格言は正しいことが証明されました。2021年の世界のモバイル広告費は2900億ドルに急増し、2年間のCAGR21%になると予測しています。

2020年のモバイル広告はトレンドに逆らい、デジタル広告支出全体の回復力を高めています。2020年上半期には、新型コロナにより多くの企業で予算が削減されたにもかかわらず、モバイル広告の出稿件数が70%増加しました。パンデミック期のモバイルの回復力を考慮すると、広告主は今後も予算の大部分をモバイルに分配することが予想されます。米国大統領選挙が2020年後半のモバイル広告支出を後押ししている一方で、2021年も引き続き、モバイルに広告支出が流れると予測します。消費者のモバイルへの移行が孤立したトレンドではないことも考慮すればなおさら、新型コロナウイルスが過去に確立された習慣を大きく変えたと言えるでしょう。

モバイル広告費が2,900億ドルに達しても、広告市場の他の部分のパフォーマンスに左右されます。この成長の大部分は、モバイルコマースの好調な成長と、オフライン広告からデジタルへのさらなるシフト(2020年までに加速するもう一つのモバイルトレンド)によるものと予想されていますが、OTTプラットフォームは、モバイルの成長シェアに食い込むことで逆風を起こす可能性があります。

モバイル広告の急増が進む中で、App Annie Ascendは広告分析を効率化、投資利益率(ROI)を最大化に役立てられます。

 

5. 2021年、動画ストリーミングアプリのダウンロード数はコロナ以前の水準から最大85%増加へ

米国では、消費者が新たなコンテンツを探し求める傾向が続いており、2021年には、動画ストリーミングアプリ平均9.5本がダウンロードされると予想されます。この数字は対2019年比で85%増となります。消費者がより多くのコンテンツの選択肢を求める傾向はパンデミック期間に加速したものの、主に遅行指標でした。ロックダウンが数週間から数カ月へと長期化し、世界中の消費者がコンテンツの選択肢を増やすため、動画ストリーミングアプリの需要が高まっています。細分化された市場では、消費者がスマートフォンのアプリとして、動画ストリーミング事業者がキュレーションする小規模な「バンドル」を求めるという、目立った動きが始まっています。

2021年中に本格的な業界再編は起きないと予想されるものの、競争は熾烈であり、この分野の小規模な事業者にとっては現実味のある選択肢でしょう。Shudderは、年間サブスクリプション時に月額5ドル未満という低価格で、大手ストリーミングアプリの補完を狙っています。これはより多くのコンテンツを求める消費者に適したモデルでありながら、競争力のある価格設定で長期的なリテンションを牽引するバランスも取っています。優位に立つためには、現在のソーシャルディスタンスを保った在宅の消費者に対応する機能を活用し、2021年に向けてエンゲージメントの本格的な拡大を促進すべきです。Disney+は、別々の場所にいる複数ユーザーが一緒にストリーミング視聴する傾向が高まっていることを利用し、共同視聴機能のGroupWatchをローンチしました。アプリ内の交流、つながり、共有体験を可能にする機能が、ロードマップの新たな優先事項になると予想します。従来の動画ストリーミング事業者は、特にZ世代を意識したTikTokやSnapchatなど、モバイルファーストでユーザーが作成したショートフォーム動画ストリーミングアプリとの重複利用のように、周辺市場の動きも注視する必要があります。

モバイル市場データを分析することで、新たな消費者の傾向や嗜好を知り、迅速にニーズに対応することで、競合がひしめく市場で自社アプリを差別化できるようになります。動画ストリーミングやゲームといった競争の激しい業界では、正確なモバイルデータと分析に基づく意思決定が、競合を一歩リードするために極めて重要です。

2021年のトレンド予測について、消費の最前線である若年層「Z世代」の最新動向とともに12月10日(木)14時から開催のウェビナーにて解説します。

 

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2020 M11 19

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