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リテールバンクのモバイル投資:フィンテックアプリとの競合の行方は?

App Annie

大手銀行は今、モバイルユーザーを大勢抱えるフィンテックアプリからマインドシェアを勝ち取るべく、重点的な投資を行っています。

リテールバンキングアプリは、消費者の日常生活を支えるツールとしてますます普及してきました。App Annieのレポート「モバイル市場年鑑 2019 レポート:バンキングと金融編」によると、ユーザーは2018年、ほぼ毎日モバイルバンキングアプリをチェックしました。これは途方もない規模の消費者行動を意味します。モバイルが普及する前、平均的な消費者は銀行の支店を毎日訪れるようなことはなかったでしょう。モバイルのおかげで、ユーザーが毎日のように金融機関と実際に関わりを持つという、このまったく新しい行動が実現したのです。

とはいえ、リテールバンキングアプリはモバイル専門のフィンテックアプリというライバルとの競争に直面してきました。特に米国では、フィンテックアプリのVenmoCredit KarmaPaypal2019年第1四半期、スマートフォンユーザー数でChase Mobileを除くすべてのリテールバンクを上回りました。平均的な消費者が1日あたり3時間近くをモバイルに費やす状況で、消費者を伴う成功のためにモバイルが重要な戦場になったことは明らかです。

リテールバンクは業界のこうしたシフトを認識し、物理的な支店よりもモバイルを優先するようになっています。いくつか例を挙げましょう。Bank of Americaは最近、同行のCashProモバイルアプリをApple Watchに対応させたと発表Chaseは同行のChase PayアプリにeGiftカード機能を追加しました。また、CitiGroupはモバイルサービスを拡充し、新たなクレジットカード機能の開始とリワードプログラムの強化により、2019年第1四半期に10億ドル相当のデジタル預金を上乗せしました――この金額は、同行の2018年のデジタル預金総額を上回ります。

ユーザーの日常的な習慣に沿ったフィンテックアプリ

上位フィンテックアプリにおける新規ユーザー数の伸びとセッション数の増加が示しているは、これらのサービスが持つ回帰性の高さと、毎月、毎週、さらには毎日の習慣になる能力です。そうした習慣は、信用スコアをチェックする、予算を管理する、買い物をするといった日常的な利用に組み込まれています。

フィンテックアプリは2018年に転機を迎えました。その多くが消費者バンキングに進出し、リテールバンクにとっては一層大きな脅威となっています。歴史的に、デジタル専業またはモバイルファーストのフィンテックアプリは消費動向に迅速に対応でき、合理的なモバイルアプリ体験をユーザーに提供してきました。Venmoは、2018年にモバイルアプリの申請手続きだけで済むデビットカードを発表したほか、2019年中にクレジットカードを発行する計画もあります。Venmoに採用されているリテールバンキングソリューションのZelleは、独立したアプリとして利用できるほか、Zelleを採用したバンキングアプリ同士におけるシームレスな個人間送金を可能にします。2019年第1四半期、米国におけるフィンテックおよびリテールバンキングアプリのユーザー数で、Venmoは首位のChase Mobileに次ぐ2位につけています。

モバイルバンキングへの関与を競うテック大手

モバイル決済の人気が高まるなか、テック企業は自らの専門技術を活用し、消費者によりシームレスな決済オプションを提供するのを支援しています。AppleのCEOを務めるTim Cook氏は最近、Apple Payによる決済が2019年末までに100億件に達する見込みだと発表しました。従来のクレジットカードに代わる決済手段として、Apple Payを導入する企業と公共交通機関が増えているといいます。またAppleは最近、iCloud、iTunes、App Store、Apple Musicを含む主な自社サービスの決済オプションにApple Payを追加しました。これもApple Payの利用者増を目指す取り組みと言えるでしょう。さらにAppleは今夏、独自のクレジットカードとなるApple Cardを発行開始する計画です。支払い明細をApple Mapsと連携させて直感的に把握しやすくするほか、Apple製品購入時に3%のキャッシュバック、発行手数料・年間維持費無料、競争力のある低金利といった特徴があります。

リテールバンキングの次なる進化

リテールバンクは今、物理的な店舗を縮小してモバイルエンゲージメントを増やしています。例えば、Chase2018年に支店を2%減らし、モバイル関連技術に108億ドルを投資した結果、アクティブなモバイル顧客が11%増えました。モバイルへの投資は、伝統的な銀行業務にとって一石二鳥の良策であることが明らかになっています。良くできたモバイルアプリは、顧客との接点を増やすと同時に、従来型の支店における人件費を削減します。

フィンテック新興企業とテック大手に歩調を揃える努力において、リテールバンクによるデジタル投資が成果をあげていることは明らかです。米国のリテールバンキングアプリ上位5位による総セッション数は、2016年から2018年にかけて70%増えました。ただし、米国のフィンテックアプリ上位5位による総セッション数は、同期間に175%もの急増を果たしています。リテールバンクに求められているのは、迅速に動いてモバイル体験を優先し、モバイル専門のフィンテック企業と競争して、消費者のモバイルマインドシェアを勝ち取ることです。2019年、モバイルで勝利することは将来の成長に必要不可欠なのです。

さらに詳しくは、App Annieの最新レポート「モバイル市場年鑑 2019 レポート:バンキングと金融編」をダウンロードしてお読みください。

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この記事は、連載中の「モバイルの現在」シリーズの一環です。同連載では、最新ニュースや、モバイルの変革が方向づける業界予測について、App Annieのインサイトを毎週お届けしていきます。ご期待ください。

2019 M06 12

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