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1兆ドル規模のアプリ経済は始まりにすぎない

App Annie

9月12日にサンフランシスコで開幕するMobile World Congress Americas(MWC)に、世界中のリーダーとイノベーターが集結します。大勢のモバイル分野の識者たちが一堂に会するMWCは、アプリ経済がもたらす並外れたチャンスを探求する絶好の機会です。そして、多くのなかでもとりわけ注目されるのがアプリ内広告です。

基本的な問題から始めましょう。米国の平均的なスマートフォン所有者は、1カ月に何本のモバイルアプリを使っていると思いますか?その答えが35本以上だと聞けば、信じられないと思う人もいるでしょう。さらに、平均して上位20%の所有者が、1カ月に45本以上のアプリを使っています。こうした数字に驚きを感じるとすれば、それほどスムーズにアプリが私たちの生活に溶け込んでいるということです。私たちは、毎日のようにアプリに頼ることが、すでに意識にのぼらないほどに当たり前になっているのです。

モバイルデバイスは私たちがいつもつながりを感じられる存在であり、最先端のテクノロジーを利用して豊富な情報へアクセスできるようにしてくれます。このような要素が合わさることで、モバイルアプリが多くの人にとって必須のツールになるための強固な基盤が築かれてきました。ゲーム、動画の視聴、人々との交流から、ショッピング、旅行の予約、家計の管理にいたるまで、実にさまざまな日々のタスクがモバイルアプリによって大きく変わり、改善されてきました。もはやアプリのない生活を考えることさえ難しいでしょう。しかし、アプリの普及度もさることながら、アプリ経済の全体的な規模を示す指標や、その爆発的な成長の可能性を示す指標は、実に驚異的な伸びを示しています。

 

まずはアプリの利用状況から見ていきましょう。2016年に世界のアプリで費やされた合計時間は1.6兆時間に達し、前年比で50%を超えました。成熟市場では、平均的なユーザーは1日に2時間をアプリに費やしています(これは1年間のうちの1カ月に相当する時間です)。

現在の利用状況は目覚ましいものですが、アプリ経済はまだ当分ピークを迎えそうにありません。2021年にはアプリの利用時間が3.5兆時間となり、2016年の2倍以上になるとApp Annieは予測しています。

最も成熟したアプリ市場でさえ、可能性全体のごく一部にしか手が着けられておらず、世界全体のアプリ市場に鈍化の兆しは見られません。これが特に明白なのがマネタイズで、とりわけアプリ内広告は、今後数年間で劇的に増加することが確実視されています。さらに、今後も莫大な数の新しいアプリが毎月のようにリリースされ、新たに登場するテクノロジーとプラットフォームによって、今までにない利用方法やビジネスモデルの多様な組み合わせが生まれることは間違いないでしょう。このような可能性を実際に示した例が、2016年のスマッシュヒットとなったPokémon GOです。このゲームは、人気の高い知的財産(IP)だけでなく、拡張現実(AR)を大衆にもたらしたその能力により、2016年末までに10億ドル近い消費支出をもたらしました。

 

巨大な成長機会が、成熟市場と新興市場に等しく到来

 

App Annieはこれまでのレポートで、アプリ市場が長い時間をかけて進化する仕組みを示す「アプリ市場の成熟モデル」について取り上げてきました。市場の初期段階では、モバイル機器の普及に刺激されて、アプリのダウンロード数が急増します。この段階では、ユーザーがさまざまなアプリを試し、アプリのコレクションを構築し始めます。しかし時間がたつにつれて、ユーザーは日常的に使うアプリの利用習慣を確立し、利用状況が定まっていきます。このように定番アプリのエンゲージメントが拡大を続け、アプリの価値が理解されるようになると、ストア、広告、コマースといったすべてのチャネルで収益が拡大していくのです。

 

このモデルは、単にアプリ経済の現在と過去を説明しているだけでなく、将来にわたっての大きなチャンスを示しています。たとえば日本や米国のような成熟市場では、アプリの利用と収益が増加する段階に移行しても、ダウンロード数は高いままです。また、これらの市場では、ユーザーがアプリに費やす時間と金額が今後も着実に増える兆候が多く見られます。パブリッシャーと技術的なイノベーションによって、現在の利用方法が改善されるだけでなく、新たな利用方法が生み出されるため、このトレンドにさらに拍車がかかるでしょう。

 

一方、中国は2種類の市場の特徴が見られる興味深いケースです。第1層の都市では、アプリのアクティビティが他のほぼすべての国を上回っています。対照的に、第2層以下の都市は、スマートフォンの普及とアプリ市場の成熟化が初期段階にある新興諸国に似ており、成長の余地が大いに残っています。全体として見ると、中国は大規模な成長が確実視されており、2021年までには、アプリストア支出とアプリ内広告支出を合わせた額が、年平均成長率(CAGR)で28%増加し、1140億ドルを超えるとApp Annieは予測しています。

 

新興市場では、ブラジル、メキシコ、トルコが突出しており、過去2年以上にわたってGoogle Playの成長を後押ししてきました。この3カ国は依然として成長を続けており、デバイスの低価格化とモバイルネットワークの普及拡大によって、その傾向にさらに拍車がかかるでしょう。そうした変化が初めてスマートフォンを所有する人をさらに増やし、ひいてはアプリ経済にさらなる成長をもたらすことが予想されます。

 

最後に控えるのが、インドや東南アジア諸国など、まだ成熟の初期段階にある次世代の市場です。なかでもインドは、現在の市場規模と今後の成長の可能性に大きな開きがある点で注目されます。インドは、2016年に米国を追い抜いてGoogle Playのダウンロード数が最も多い国になりました。このような記録を達成してもなお、インドはスマートフォン普及率が30%未満であり、まだ驚くべき成長の余地を残しているのです。

 

世界的には、イノベーションの進展、ビジネスモデルの変化、モバイルデバイスとネットワークの普及拡大という3つの要素が、今後数年間にわたってアプリ経済を推進する力となるでしょう。

 

広告支出のモバイル移行で、アプリ内広告が急成長

 

先に述べたように、アプリ市場が成熟すると、アプリの利用が増加し、マネタイズへの道がさらに開かれるようになります。その結果、世界のモバイルアプリストア支出とアプリ内広告支出の合計額は、2016年の時点ですでに1340億ドルを突破しました

* アプリ内広告支出の総額 ** 消費支出の総額

 

アプリ経済全体が依然として比較的初期の成熟段階にあることを考えれば、これらの数字は今後爆発的に成長することが予想されます。2021年には、モバイルアプリストア支出とアプリ内広告支出の合計額がCAGRで20%増加し、3400億ドルを超えるとApp Annieは予測しています。

 

特にアプリ内広告支出は、CAGRで23%増とモバイルアプリストア支出を上回る勢いで増加し、2021年には2000億ドルを超える見込みです。この数字だけでも、App Annieが予想する2017年のアプリ内広告とモバイルアプリストアの合計支出額を上回っています。

 

アプリ内広告支出の急成長を推進する要素として、いくつかの点が挙げられます。第1の点は、アプリ内広告が、今後もアプリパブリッシャーにとって魅力的なビジネスモデルになると見られることです。なぜなら、パブリッシャーは広告収益のおがけで自社アプリを無料ダウンロードで提供できるようになり、その結果、アプリの訴求力とユーザー基盤を拡大しながら、継続的な収益源を確保できるからです。

 

また、他のメディアチャネルに比べて、モバイルがその消費者エンゲージメントの創出量に見合った広告支出シェアをまだ獲得できていない点が挙げられます。そのため、今後は広告主が各チャネルへの支出配分を最適化し、アプリ内広告に非常に大きな機会がもたらされると思われます。

 

さらに、アプリ内広告のフォーマットの進化により、今以上に広告効果が高まり、広告主、アプリパブリッシャー、消費者に提供する価値がさらに大きくなることが挙げられます。そのような未来を先取りしている例が、複合的なマネタイズ手法です。たとえば、アプリ内報酬と引き換えに広告を視聴する選択肢をユーザーに提示するリワード動画広告は、現在最も急成長している広告フォーマットの1つです。リワード動画広告を取り入れているゲームパブリッシャーは、非課金ユーザーからもマネタイズする一方で、広告効果を高め、アプリ内購入からの収益を増やし、ポジティブなユーザー体験を維持することに成功しています。今後は、広告がモバイルアプリ向けにますます最適化され、バーティカル動画広告などのフォーマットが広告主やアプリパブリッシャーの支持を増やすと予想されます。

 

最後の点は、広告技術の向上によって、広告主がより的を絞ったアプリ内広告を提供し、全体的な広告効果をより正確に計測できるようになることです。たとえば、Googleは機械学習によって大量のリアルタイムデータを解析できる高度なツールを提供し、広告主がより効果的なキャンペーンを構築できるようにしています。このようなイノベーションも、モバイルアプリにより多くの広告支出を集めるうえで役立つでしょう。

新たに登場するアプリと技術が、アプリ経済の未来に貢献

 

消費者向けに提供されているアプリは、すでに驚くべき本数に達しています。2017年7月末現在、iOS App StoreとGoogle Playで提供されているアプリは、それぞれ200万本と350万本を超えています。既存のパブリッシャーが新たなゲームやサービスの開発を続け、従来型企業がアプリへの移行を進め、新興のモバイルファースト企業が独自の消費者体験を提供しています。アプリの本数は驚異的なペースで増え続けており。2017年7月の1カ月間にリリースされた新作アプリは、iOS App Storeで約5万本、Google Playで15万本超を数えました。

 

そしてここでも、技術革新がアプリ経済にすぐさま劇的な影響を及ぼす顕著な例として、Pokémon GOを挙げることができます。このゲームがリリースされ、ARが大衆に広まったのは2016年7月でしたが、これはFacebookGoogleAppleが、実世界と仮想世界を融合するカメラやコンピュータビジョン技術に関する大々的な取り組みを発表してから1年足らずのことでした。各社のこうした取り組みによって、ARゲームからビジュアル検索に至るまで、さまざまな新しい用途の可能性が開かれているのです。

 

今後も、さまざまな分野の技術革新が、アプリを日常生活に定着させる機会を変化させ、拡大していくでしょう。決済やモバイルウォレットから、仮想現実(VR)、コネクテッドホーム、コネクテッドカー、さらにはまだ見ぬ新しいプラットフォームにいたるまで、ありとあらゆるものが、アプリパブリッシャーにとって新たなユーザー体験を提供するための最適な環境を提供します。こうした新しいアプリが、消費者に付加価値を提供する好循環を生み出すことで、アプリ全体のエンゲージメントを高め、ひいてはアプリ経済全体にマネタイズのチャンスの拡大をもたらすでしょう。成熟市場の平均的なスマートフォンユーザーは、すでに1年のうち1カ月に相当する時間をアプリの利用に費やしています。2021年には、一体どれほどの時間とお金がアプリに費やされるようになるでしょうか。

 

レポートの調査方法と更新情報についてはこちらをご覧ください。

2017 M11 4

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