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ファイナンスアプリの市場動向と顧客に寄り添ったアプリグロースの方法

App Annie

金融のデジタルシフトが進む中で見られる、金融サービスのアプリ化、新たな新興勢力の台頭。決済アプリを筆頭に盛り上がる市場を踏まえ、見るべき指標とは?

Fintech アプリの台頭

2019年頃から世間を賑わせている「○○Pay」は、多くのキャンペーンの効果により一気にアプリのダウンロードが増え、街中で利用している人も見かけるようになりました。
サービス利用者にとっては、メリットがある内容で実際にアクティブユーザー数も増えております。一方で、サービス提供者側は、熾烈な競争を繰り広げ、サービスが統合するニュースを目にすることも増えてきました。

「○○Pay」は、いわゆるFintech を代表するようなアプリの一つと考えられますが、広義の意味でFinence アプリは様々なものがあります。例えば、伝統的な金融機関であるメガバンクや地方銀行が提供するアプリ、ネットバンクや証券、家計簿、手軽に投資できるようなものも含まれます。

2019年、上位10位のフィンテックアプリの全世界における平均月間アクティブユーザー数は、前年比で20%増えました。日本においては、160% 以上増加しており、生活者の関心の高さが伺えます。

モバイルにおける金融サービスは一般化しつつある

消費者が1日にモバイルを使う時間は3時間40分となっています

その時間のなかでは、ゲームやマンガといったエンターテインメントだけでなく、友達とのコミュニケーションやSNSといったアプリも含まれています。

利用時間や利用状況が限られている中で、実際に利用されているのか?という点に着目して見て行きたいと思います。

全世界の消費者がファイナンスアプリにアクセスした回数は、2019年に1.1兆回を超え、2017年から100%増加しました。
モバイルを起点に、お金の動向を調べたり、家計をチェックしたり、お金を支払うといった行動が徐々に増えていることを示しています。

伝統的な金融機関が提供するアプリと、金融機関でない企業が提供するアプリのアクティブユーザー数の推移を見ていくと、どちらも成長傾向にあります。
モバイルを起点に利用者との接点が増えている傾向にある一方で、例えば店舗を持つ金融機関からすると店舗起点で情報を届けられる頻度が減っていることとも読み取れます。

日本において2017年は家計簿系、2018年は仮想通貨、2019年から2020年は決済サービスの過熱感がありますが、金融系のアプリランキングからは、ロボアドバイザー投資、貯蓄系、信用スコアリング、マイクロファイナンス、自動車・生命保険など様々なサービスが登場しているのも事実で全体的にアクティブユーザー数が増加しています。

金融のデジタルシフトで考えるべき顧客の実態と顧客理解

デジタル上での利用者との接点が増える中で、顧客とどのように向き合っていくことが大事なのか?
筆者がお客様とお話をする中で見えてくる大事なポイントについてお伝えしたいと思います。

一つ目は「お客様の声を真摯に受け止める」です。当たり前といえば、当たり前かもしれませんがとても重要なポイントです。
上記を実践されているイギリスのH銀行に実際にお伺いしました。

グローバルで展開しているH銀行は、自社内でアプリを含めたシステムの開発体制を整えているとのことです。
日本国内の金融機関では、システムインテグレーターなどに委託している場合が多く、ウォーターフォール型での開発が一般的な中で、アジャイルでの開発体制を整え、プロダクトマネージャーやエンジニアだけでなくデザイナーも抱え、少なくとも月に1回以上はアプリをアップデートしているとのことです。

レビューの平均評価値を評価指標として設定し、レビューへの返信も丁寧に行なっているということでした。
そうした取り組みの成果からかアプリの起動率はiOSとGoogle Playの両OSで80%前後を推移しており、アプリをインストールしている多くの利用者が少なくとも月に1回はアクセスしている状況を作り上げています。

  昨年1年間でイギリス国内にてH銀行のアプリについたレーティング(星5段階評価)の推移。星4,5 のレーティングが多く(緑部分)ユーザーの評価が高い事が分かる。

 

単に「自社内で開発体制を整えよう」、ということではありません。実際に開発体制を整えようとすると、採用活動を含めたコストが大きくかかることも想定され、実現時期も不透明です。

あくまでも現時点での体制の中で、改めてアプリを重要な顧客接点と捉え直し、利用者の声に真摯に対応し、少しでもアップデートをかけていくことが非常に重要と考えています。

一見、ROI(費用対効果)に直結しにくいポイントかもしれませんが、顧客の意向をシンプルに大事に考えてリソースを投下することが大切と考えます。

顧客理解をするためのヒントをモバイルの市場データから探る

前述のイギリスのH銀行では、、実際にお客様からの声をプロダクト開発に活かしていますが、他に利用者と向き合うヒントはどこにあるのでしょうか?
大事なポイントの2つめは、「他国・他ジャンルからヒントを得る」です。

弊社のお客様の、とある銀行との会話の中で、海外のサービスからヒントを得る、というお題でディスカッションさせていただくことがあります。一部の銀行では、国内だけでなく、海外のトレンドに目を向けています。

例えば、チャレンジャーバンクという実店舗を持たないモバイル専業の銀行の動向を把握しながら、若年層に対してどうやって訴求していこうか分析し、取り入れられそうな部分を自社サービスに反映しようとしています。

背景として欧米の銀行は2015年頃からデジタルへの取り組みを強化し、アプリ機能の拡張、CX体験の向上に注力しています。金融機関によるデザインコンサル会社の買収は本気度を見る分かりやすい例の一つです。

それ以外にも、利用者が他にどのようなアプリを使っているのかといった重複利用の傾向をみて新しいビジネスのアイディアや協業の可能性を探る、また利用されている頻度の高いアプリをデータからピックアップしUIやUXを分析することもできます。

少子高齢化が進む日本の支える金融機関は、組織だけでなく、デジタル全般の再編・協業は有効な選択肢となり、アプリは日々の生活をより良いものにすることが期待されます。
そのために、今、実際に市場で起こっている事実を正確に把握した上で、誰もが納得する定量データをもとに意思決定を下す組織を目指すべきではないでしょうか?

 

 

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2020 M02 19

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