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2020 M02 6

MaaSの普及とともに見る消費者行動の変化と新規ビジネスの可能性

App Annie

最近よく耳にする「MaaS」 その実態と、無視できない消費者行動の変化とは?

MaaS の広がりと日本における企業の取り組み

昨今多くのメディアでよく「MaaS (= Mobility as a Service)」という言葉を見聞きすることはありませんか?直訳すると「サービスとしての移動」という意味となり、特によく自動車業界や鉄道・航空業界などで話題になることが多いのですが、広義の意味で「デジタルを活用して、移動にまつわるサービスを消費者に提供すること」という文脈で使われることが多い言葉です。

代表的なサービスとして、ライドシェアやバイクシェア、タクシー配車などのサービスを思い浮かべる方も多いかと思いますが、概念的には「移動」にまつわるサービスを幅広く指すので、例えば配送系サービスや、航空機や新幹線のサブスクリプションサービスなども含まれます。

最近では日本でもMaaS系のサービスは成長中です。以下の図が示すように、この3年間で、2017年に約63万件だった月間アクティブユーザー数は約192万件となり、200%増加しました。そうしたこともあり、ますます消費者の生活の中に入り込んでいると言っていいでしょう。

自動車業界だけじゃない?MaaSが広がることで各社が意識すべきこと

さて、昨今世界中でホットなトレンドのこのMaaSですが、皆さまの中でどこか「自動車業界や鉄道業界以外の人には関係ない」というお考えをお持ちではないでしょうか。

国内の事例にはなりますが、日本のソフトバンクとトヨタ自動車が設立したMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)が展開する、モビリティ領域の革新を目指す企業間連携組織「MONETコンソーシアム」には、現在異業種からの参加が相次いでいます。2019年3月末の設立時には88社でしたが、加盟企業が450社を超えています(2020年2月時点、出典:自動運転ラボ|MONET軍団、瞬く間に456社!自動運転やMaaS領域、異業種続々 トヨタとソフトバンクの仲間作り)。

ヘルスケア、不動産、小売、飲食、金融、エンタメなど、各業界の名だたるトッププレイヤーたちがこのコンソーシアムに参加しており、従来は「移動」というものをビジネスの主軸に置いていなかった企業たちの参加が目立ちます。

これらの企業たちは、一体何を目的にこのコンソーシアムに加盟しているのでしょうか?

ここで例えば、MaaSの今後の発展のカギの一つとなる、自動運転技術の発展を例として取り上げ、近い将来ドライバーが自分で車を運転せずとも、自家用車に乗っているだけで目的にたどり着けることができるような状態を考えてみましょう。

そうなった場合、皆さまは車中というプライベートの空間の中で一体何をするでしょうか?

その車中は、遠隔でのビデオ会議などを行うこともできますし、プライベートの空間としても利用できるようになるはずです。例えば映画・ドラマを見る、ニュースを見る、ビジネス書やマンガを読む、昼寝をする、など、普段皆さまが家というプライベートな空間で行っているようなことを車中でも行うようになるでしょう。

実は、日本人が1日にモバイルを使う時間は3時間40分で、年々増加しています。限られた可処分時間を獲得するために、モバイル上のどのアプリ、どのサービスが消費者の心を掴んでいるのかを知る必要があります。

そうなった場合、この車中においてユーザーがどういった消費行動を行い、どういったコンテンツに触れているか把握することが、皆さまが今後どんな価値をそのユーザーに提供すべきか考えるための非常に重要なインプットになるとは思いませんか?

例えば、動画ストーミング系のジャンル一つ見ても、各国によってその人気度合いは様々です。)

東南アジア最大規模のMaaSサービス「Grab」: 注目すべきスーパーアプリとは

東南アジアで最大級のユーザー規模を築いているシンガポール発のサービスGrab。元々ライドシェア系サービスとして始まったGrabですが、今は決済、エンタメ、ショッピング、フードデリバリーなど、ユーザーが日々の生活の中で非常に多くの接点を持てるようなコンテンツを提供し、いわゆるスーパーアプリとしての地位を確立しています。

先日、筆者のシンガポール出張に合わせてGrabのアプリを実際にダウンロードして利用してみたのですが、外国人の筆者から見ても非常に使いやすく便利なUXを提供していて大変驚きました。Grabのサービスを使えば使う分だけポイントが貯まるので、例えば次回Grabの何かしらのサービス(例えばタクシー配車やショッピング)を利用する際、そのポイントの分だけディスカウントを受けられたりもします。このように、ポイントを利用してユーザーをなるべく自社サービスの経済圏で回遊させる仕組みは、日本でも多くの企業が提供しておりますが、GrabはシンプルなUI、かつスムーズでわかりやすいUXを実現しているため、ユーザー目線で見ても非常に利用しやすく設計されています。

ホーム画面に様々なサービスがあり、配車や決済などをスピーディーに行なえます。

Grab のスクリーンショット画像。App Annie では、各社がアプリストアにどのようなクリエイティブを掲載しているかを確認できます。

ドライバーさんの動きも非常に効率的で、上図で”Making 1 stop first”と記載がある通り、現在乗車中の他のお客様を別の場所で降ろしてからすぐ迎えに来てくれることもあります。限られた時間を可能な限り有効活用していますので、逆に、こちらが待ち合わせ場所に遅れたりするとすぐに配車リクエストはキャンセルされ、キャンセル料が発生することもあります。

 

Grabのサービス利用で貯まったリワードのポイントを使って、飲食店のディスカウントを受けることもできます。

逆の視点で考えてみると、このUI/UXに慣れている外国の人たちが日本に来たとき、一体どんなユーザー体験を日本で求めるでしょうか?一番便利なのはGrabをそのまま日本でも使うこと、もしくは類似サービスをダウンロードして利用したいと思う方もいるかもしれません。
いずれにせよ、年間4千万人を超える訪日外国人*をターゲットに「彼らに自社サービスを利用してほしい・知ってほしい」と思っている事業者様にとっては、このように海外で今流行っているサービスは何か、彼らは一体どんなUI/UXに慣れているのか、というのを把握することは非常に重要です。

消費者の行動変容に合わせなければ、あなたのサービスはますます「使われなくなる」

今回はMaaSを例に取りましたが、このように新しいトレンドによって消費者のライフスタイルが変化すると、それに合わせた製品やサービスを消費者に提供し続ける必要があります。このような変化をどれだけ「自分ごと」として捉え、そこからどういった影響が自社のビジネスに波及するのか、考えを巡らせる必要があると言えるでしょう。

例えば、スマホアプリの操作性一つを考えても、世間一般的に利用されているアプリのUIとギャップが生じていると、ユーザーは「なんとなく使いづらいな」という印象を持つかもしれません。このように、事業者目線で見ると若干に見えるズレが、ユーザー目線で見ると使いづらさや違和感の積み重なりとなって、次第に利用されなくなるといったような事象は、現実に弊社のクライアント企業様においても、多く起こっている事象の一つです。

変化の早い市場の中で次に何をするべきかを判断する際、過去の成功体験や感覚をもとに意思決定を行うのではなく、今実際に市場で起こっている事実を正確に把握した上で、誰もが納得する定量データをもとに意思決定を下す組織を目指すべきではないでしょうか?

 

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